ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

国立能楽堂へ

191126 これまでとんと縁のなかった能を鑑賞することになった。親しい合唱フレンドの一人から偶然チケットが回ってきたのだ。

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能・狂言を観るのは何十年ぶりか。記憶を辿ると中学生の折、学校の授業の一環で、水道橋にある能楽堂(宝生能楽堂 1913年)へ行ったのが最初だろう。

その後は、2011年、青山にある能楽堂銕仙会能楽研修所)へ行っているが、この時は本来の能ではなく、若村麻由美が登場した平家物語による語り芝居であった。

と言う次第で、人生二度目の能・狂言鑑賞とあいなった。

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事前にある程度の情報を得ていたつもりだったが、そんな付け焼き刃的なことでは、この舞台をほとんど鑑賞したことにならないことが分かった。オペラや歌舞伎、文楽などは、一通り筋書き・展開を頭にいれておけば、それなりに楽しめるものだが、能の世界はそんな生易しいものではない。日頃から蓄積された分厚い教養が身についてない者には、厳しい経験だった。

それでも、この特別な空気に満ちた空間に身を置けたのは幸せだった。滅多にできない体験をしたわけだから。

場内、さすがに外国人の姿は皆無。年配のご婦人方がほとんどである。また多くが和服を着用していたのも、この会場ならではのことだろう。場内アナウンスも控えめ、終始静寂が会場内を支配している。

それにしても、クラシックの演奏会ではありえないのは、途中入場が頻繁であること。中には1時間も遅れて席に着く人もいるほど。これは、ちょっとした驚きであった。

拍手もごく控えめに、すべての演者が舞台から去る寸前にぱらぱらと聞こえる程度。最後まで実に特殊な世界であった。