ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「アイリッシュマン」

191128 THE IRISHMAN 米 209分 監督:マーティン・スコセッシ、脚本:スティーヴン・ザイリアン、原作:チャールス・ブラント

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すごい顔ぶれだもの、面白くないはずがない。ちなみに監督と主要キャスト3人はいずれもイタリア系で、しかもほぼ同じ年代ということだけでも凄いとしか。アル・パチーノ、79歳、マーティン・スコセッシ 77歳, ロバート・デ・ニーロジョー・ペッシが76歳。

実話を基にして構成されている。主人公はアイルランド系のフランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)だが、物語の主軸に置かれているのはジミー・ホッファ(アル・パチーノ)。

この男、全米トラック協会の委員長として君臨、マフィアと結託してやりたい放題。そこに目をつけたのが、1961年に大統領に就任したJ.F.ケネディーのおかげで、司法長官になった弟のロバート・ケネディー。この兄弟とホッファは長く敵対関係であったことから、一時、ケネディー暗殺にはホッファが深く関与したと疑われたほど。

そのホッファにひょんなことからすっかり気に入られてしまったフランク、ケチな殺し屋に過ぎなかったのに、気がつけば側近中の側近という立場に。もちろんそれだけの資質もあり、誰よりも度胸があり、頭角を現わすだけの功績(ほとんどヤバイ仕事だが)を示した結果だが、必ずしも本意ではなかったと想像される場面がいろいろ。

最後は、彼を若い頃から可愛がっていたマフィアのブファリーノ(ジョー・ペッシ)の意図を汲んで、心ならずも・・・。

3時間半という長尺だが、ほとんどそれを感じさせない技はさすがスコセッシである。大昔からパチーノ、デ・ニーロ、ペッシたちとは仕事仲間でもあり、なによりイタリア系という強い絆で結ばれているらしいから、まことに息の合った作品に仕上がるのは至極当然。

メーキングで知ったことだが、最新の特殊カメラの威力まざまざだ。

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複数カメラで撮影して、顔を特殊メイクをほどこさずに、望む年代に”ふけさせる”ことができると言うから驚きだ。

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この二人、「ゴッドファーザー」で共演しているが、撮影では顔を合わせてはいない。

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それにしても、スーパー・スリーショット!

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実際の姿はこんな感じに

ところで、Martin Scorseseを日本ではなぜスコセッシと表示するのか。イタリア系だから、イタリア人ならスコルセーゼだし、生まれた時からアメリカ人になっているから、アメリカ風ならスコーシーズと発音しているというのに!こんないい加減な表示が許されていいのかねえ。

#71 画像はIMDbから