ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「マリッジ・ストーリー」

191206 MARRIAGE STORY 米 136分 製作(共)・脚本・ 監督:ノア・バームバック

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これは離婚をテーマに据えたラブ・ストーリーである。それぞれが相手の”いいところ”を文章にして、独白形式でストーリーが始まる。互いに絶賛である。どこか相手の嫌なところがないか探そうとするが、二人とも思い当たらない。

なにが原因で、離婚話に発展したのかをフラッシュバックしながら、探っていく展開で、至極わかりやすい。チャーリー(アダム・ドライバー)は劇団の主宰者、ニコール(スカーレット・ヨハンソン)は、かつてはそこそこの映画女優だが、チャーリーの劇団に出演するようになってから、”何か違うなぁ〜”と、もどかしさを感じるように。

もともと生活ベースがLAのニコールと、NYベースのチャーリー、すれ違いが顕在化するのは時間の問題。なにかというとスペース(広々した空間)を持ち出してカリフォルニアの素晴らしさをいいつのるニコール一家に、次第に反感のようなものを感じ始めるチャーリー。でも、ニコールの姉や母親とは超ウマが合うという関係。

だから、離婚と言ってもツノ付き合わせるのは避けて、穏便なプロセスを望む二人だが、ニコールが敏腕の離婚専門弁護士(ローラ・ダーン)と契約したことで、雲行きが俄然怪しくなり、激しいバトルが展開される。言わずもがなのことまで持ち出し、口汚く罵り合い、挙句やっと冷静さを取り戻す二人。

スカヨハとアダム・ドライバー共演とあって、すぐ本作を見る気になったが、期待通り素晴らしい作品!キャスティングもいいが、堅牢な脚本が成功の主因。

LAのチャーリーのがらんとした一室で、二人の罵り合いは、ノーカットで延々5分は続いたバトルシーン。2日がかりで、50テイク!!だったそうだ。アドリブなし、脚本通りにしゃべったらしい。

スカヨハ、ローラ・ダーン、バームバック、いずれも離婚経験ありで、アダム・ドライバーは両親が離婚しているというから、ことほどさように離婚が日常風景化しているのがアメリカ。それにしても、大変なエネルギーと時間を使うわけで、日本人から見るとバカバカしいというか嘆かわしいというか・・・いやはや。

#72 画像はIMDbから