200208
つい先日、「こうもり」の抜粋上演で同じ舞台に乗った種谷典子を聴きに、久しぶりにカミさんと近くのきゅりあんへ。
原田慶太楼は最近テレビで存在を知ったばかりだが、ちょっと変わった経歴である。現在もアメリカ在住で、海外で多く活動しているようだ。全体にケレン味のない振り方に好感するが、後半の曲にこそ彼の真髄が窺えたように感じた。
さてお目当の種谷典子だが、後半の1曲目、「着飾ってきらびやかに」は、彼女の声質にまさにぴったりの曲で、本領をいかんなく発揮していて、輝くばかりの高音には痛く魅了された。初めてこの名曲を聞いたのは釜洞祐子で、その後、随分いろんなソプラノの演奏を聞いてきたが、今日の種谷典子の演唱は特筆すべき名唱と言える。
たまたまかなり前列で聴いていたが、フルオケのサウンドで、後方ではどの程度彼女の声が響いていたか、いささか気になるところではあった。近くにスタンドマイクが置いてあったのはそのためか。2曲目も軽めのI could have danced all night であったから、このマイクを通していたのかも知れない。
だが、指揮者が促したアンコール曲はオペラ「ロミオとジュリエット」(グノー)からの「私は夢に生きたい」であったので、マエストロはさっさとマイクを片付けていた。オペラ歌手が正当なオペラを歌う以上、マイクを通した声というわけにはいかない。
#7 文中敬称略