200309 JUDY 米 118分 監督:ルパート・グールド
ジュディー・ガーランドという女優、実はよく知らなかったと言うことが、本作を見てよくわかった。もちろん幼少時に出演した出世作「オズの魔法使い」は後年何度か見てはいるが、せいぜいその程度。「スター誕生」も見たのか、記憶が定かでない。多分、あまり興味がなかったせいだろう。
映画自体より、主題歌「虹の彼方に」を歌った女優として人気が高まったようにも感じられてならない。それを本作の邦題にも使っているし、上の画像にもTHE LEGEND BEHIND THE RAINBOWと謳っている。
時の名子役シャーリー・テンプルを押しのけて、オズの主人公に大抜擢される際の逸話が紹介されたり、肥満体質対策で徹底的にMGMにダイエット管理されたりする子役時代もフラッシュバックとして出て来るが、二番目の夫、ヴィンセント・ミネリと別れ、三番目のシドニー・ラフトとの間にもうけた娘と息子の親権を巡り、双方弁護士を立てて争う晩年のジュディを主として描く。
結局、子役時代から飲み続けた肥満抑制剤の副作用で不眠症を発症、そのため睡眠薬を常用するという悪循環が長く続いたため、精神的にも不安定となり、当然歌唱にも悪影響を与えるという、歌手・女優生活を脅かす事態に。経済的にも追い詰められたジュディ、人に勧められ、子供を残してロンドンでの興行に再起を賭けるが・・・。
当時ソーホー地区にあったThe Talk of the Townというナイトクラブ(現在はロンドン・ヒッポドロムというイベント会場)が彼女の最後の舞台となった。(最後の最後はコペンハーゲンだったらしいが)
生涯5度も結婚するが、徹底的に男運が悪かったようだ、というか彼女に男を見る目がなかったのかも知れない。ライザ・ミネリ(73)は、劇中、ちょっとだけ登場するが、本人はゼルヴィガーとはまったく面識がなく、またこの作品をいっさい認めようとしなかったらしい。
ジュディ・ガーランドがなくなった1969年にゼルヴィガーが生まれているのも奇縁だ。享年47だったというのが泣かせる。(演じたゼルヴィガーは49歳。)
ゼルヴィガーは本作クランクインの1年前ぐらいからせっせと歌の特訓を受けただけあった、見事な歌唱を披露している。ひところにくらべぐっとスリムになっているからガーランドに近い体型で、しかも鼻の先端部分を特殊メイクでそらしていて、特に下からのショットでは、かなりガーランドそっくりに見える。
ラストはさすがにうるっときてしまう。
#9 画像はIMDbから