ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ワイルドスピード/ジェットブレイク」@Amazon Prime Video

220504 F9 (原題はこのようにそっけない。もともとFAST & FURIOUSが原題ゆえ、シリーズ9作目ということで)米 2時間23分だが、アッという間。監督:ジャスティン・リン(製作・脚本も共同)、主演:ヴィン・ディーゼル(製作も)、ミシェル・ロドリゲス

他に悪役でシャーリーズ・セロン、端役でヘレン・ミレン、クレジットなしのカメオ出演では、エンドロールの途中でジェイソン・ステイサムがサプライズ。

いい歳をしてと言われそうですが、このシリーズ、1作目から全部見ています。実に面白いし、よく出来ています。

主役の二人、ドムとレティーは、息子と静かに田舎暮らし。そこへドム・ファミリーである仲間たちが登場、さっそく行動開始。あとは息もつかせずに急テンポ、見どころ満載で一気呵成です。

どこか中南米のジャングルに墜落した機体に、全世界のコンピューターを意のままに操れるとんでもない装置の片割れがというんで、急行し、手に入れますが、横合いからなんと少年期にレーサーだった父親の謎の死をめぐって諍いの末、生き別れの弟ジェイコブが現れ、それを横取りされてしまいます。

それを取り戻そうと、舞台は東京、ロンドン、エディンバラトビリシジョージア)、カスピ海、宇宙と目まぐるしく転換し、ハラハラドキドキ、手に汗ぐっしょりとなること請け合いです。

CGと撮影技術の脅威的な革新で創造された映像の醍醐味を存分に味わえる作品です。

スタントは使っているでしょうがレティのバイクの技術は大したものです。

相変わらず妖艶なシャーリーズ・セロンさん、新しい髪型です。

エディンバラでのシーン。フロントナンバーなしは交通違反です。

同じくエディンバラ。重量級郵便車が駐車中の小型車を跳ね飛ばしていますが、CGでなく、実際にやっているようです。通行中の歩行者がびっくりしています。

終幕近く、山中でのカーチェイス、驚異の迫力です。

 

レクチャー付き「メサイア」(ヘンデル)@中小企業センター区民センターホール(目黒)

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最近、あまり見ることもなくなったFacebookを今朝、たまたま見てたら、このチラシが。さっそく記事をアップした当人(アルトの佐藤 祥さん)にライン、無料だし明日は混むでしょうね?と私。そしたら「今日ですよ!」と返しが。最近、こういう勘違いが増加の一途。困ったもんです。

幸い、我が家からそれほどアクセスの悪いところではないので、そそくさと出かけました。いやあ、めっけもんのコンサートで、大満足!あまり宣伝もしなかったのに、よくこれだけ入りましたあ!と主催者の言葉。確かに、前の方だけ、すこしばかり空席があるものの、ほぼ9割ほど埋まっていました。

実は、愚亭はこれまで生で聞いたことが少なく、配布された歌詞と対訳を見ながらじっくり聞けたのはまことに幸いでした。いつか地元の合唱団でもとりあげたいところですが、あまりに長大で、実現は無理でしょう。技巧的にはそれほど大変というようでもないように感じましたが、男女比のバランスがよくないと難しそうです。

楽器はピアノ、キーボード(オルガン)、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、トランペット(ピッコロ・トランペット持ち替え)、ティンパニーという編成でした。

ソリスト4人と指揮者は舞台下で、キーボード、ティンパニーと同じですが、歌う時だけ、中央のステップを2段上がった位置でした。

客席の列の間の高低差が30cmほどもあり、高齢者は上り下りに苦労してました。

レクチャーというのは、指揮者の小田 彰さんが曲の前後・合間になさるのですが、やたらにお上手と思ったら、なんと牧師さんでもあるのですから、まあ当然なんですね。ユーモアも交え実に巧みな解説で、ずいぶん勉強になりました。

大した略歴です!

 

実際には上の写真よりかなり肉付きがよく、自重で足腰への負担が大変そうでした。振り終わった時は、フラフラされていて、男性ソリストが思わず駆け寄ったほど消耗されていました。

最後にアンコール替わりと、支援するウクライナの国家の演奏がありました。生で初めて聞きましたが、荘重でとてもよい感じの国歌、おもわず目頭が熱くなりました。

終演後、演奏者をマエストロが紹介しています。

ソプラノの北原瑠美さん(左)とアルトの佐藤 祥さん

ソリストだけ、歌う時はマスクを外されていました。マエストロを含め他の演奏者は全員マスク姿でした。

北原さんはとてもピュアな発声が魅力的でした。佐藤さんはアルトですから当たり前ですが、中音から低音にかけての響きがとても豊かです。テノールの石川さんは終演後、マエストロが紹介されましたが、今回がメサイア・デビューだそうです。素直な高音で、宗教曲にはピッタリ。バリトンの稲垣さん、多分、前にも聞かせていただいているはずなのですが、今更ながら潤いのある低音がよく伸び、アジリタ唱法には感動でした。

トークの時間も含め、正味2時間半。ほんとにおつかれさまでした。今回は無料にして、受付にはウクライナ支援金のカゴが並べられ、ほとんどの方が募金に応じていたようでした。なお、11/26に、紀尾井ホールで再演されます。ソプラノにはウクライナ出身で藤原歌劇団所属のオクサーナ・ステパニュクさんが登場予定です。オケも本格的な編成となるようです。乞うご期待!チケットは9/1発売になります。

プログラムに、マエストロのレクチャー(ピンク地の部分)が掲載されているので、4ペイジとも下に貼り付けます。

最後に蛇足ながら、このホールのこと。まず名称がなんとかならないもんでしょうかねぇ。長すぎで、覚えられません。

かなり古い建物の印象です。上の方の画像でも確認できますが、舞台から最奥までの落差が大きい、つまり斜面の傾斜がきついので、前の席の人の頭はほとんど気にならず視界良好ですが、その分、通路の段差が30cmもあるかと思うほどで、とりわけ小柄な高齢者の方々は一様に移動に苦労されていたし、ちょっと危険を感じました。ほどよいサイズで見やすいだけに、ちょっと惜しまれる点です。

「コリーニ事件」@Amazon Prime Video

220502 THE COLLINI CASE 2019 独 監督:マルコ・コロイツパイントナー、脚本:クリスチャン・スバート、原作:フェルディナント・フォン・シーラッハ 

たまたまいい作品を見つけました。タイトルがイタリア人の名前なんで、詳細をチェックしたら・・・それも戦争秘話に属するものでした。現在の舞台はドイツなんですが、事件の発端はイタリアです。

「あれから何十年だろう、俺は今やっと親父の仇をとったことになる。あとはもうどうでもよいのだ。残り少ない人生、一生牢獄につながれようと構やしない。やっと本懐を遂げた満足感なのか、いや、むしろなにか空虚さを感じる。」

中伊、ピサ近くの寒村モンテ・カティーニ出身のファブリーツィオ・コッリーニ(懐かしや、フランコ・ネロ!)は、靴の裏に血糊をつけたまま、階下のホテルロビーへ降り立つと、よろよろと放心したようにソファに身を預けるのでした。

このようにして、事件の幕が開くのです。殺された一流企業のオーナーであるハンス・マイヤーの養子で、現在は弁護士となったトルコ人、カスパー・ライネン(エリアス・ムバレク、ドイツ生まれのドイツ人だが、名前と顔つきで中東系)が、なんと初仕事に割り振られたのが当該事件!自分の育ての親の殺人犯を弁護することになるとは、なんという運命の巡り合わせでしょうか。

大いに逡巡しますが、職業意識が勝り、国選弁護人としてファブリーツィオの弁護を引き受けることになります。当然、周囲の軋轢、とりわけマイヤーの実子ほか家族には恨まれれます。ここからがカスパーのすごいところです。ただ、弁護を引き受けたのに、その肝心のファブリーツィオがほとんど黙秘するので、なかなか真相に踏み込めません。

検察側や裁判官も、この事件はすぐに決着がつくとたかを括って、懸命にもがくカスパーを嘲笑うかのように振る舞います。

そんな中、意外なことに・・・・・・・

ま、あの時代、実際に同種の”事件”がイタリアでもフランスでも起きていたのです。つまりナチスvs.彼らが駐屯する村人たち、という構図です。パルチザンにドイツ兵が殺されたら10倍にして仕返しをすると言う、とんでもなく恐ろしいことが山ほど起きていたはずなんです。(最も傷ましい凄惨な事件となったのはフランスの小村、オラドゥール=シュル=グラヌで、村民全員が殺されました!)

この映画も後半、そこに焦点が当たります。そして、結末はだれにとっても驚くべきものでした。ついでにドイツの刑法に関する闇まで暴かれることに。

アニメ「平家物語」

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主義というほどではないのですが、普段、まずアニメは見ないんですけどねえ。

きっかけは最近読んだ新聞コラムに書かれていた「私たちは、みな『平家』。負けた後をどう生きるか」という趣旨のことです。

祇園精舎の鐘の声・・・盛者必衰の理をあらわす・・・」、平家にあらざれば人にあらず、奢る平家は久しからず・・・etc.、今更ですが、壇ノ浦に追い詰められて滅びるまで。最後は生き延びた、いや生き延ばされた徳子が建礼門院として寂光院で、滅亡した一門の魂を供養するまでを全10話で描きます。

なんと言っても、色彩がすばらしい!顔の表情などもごく簡略化された線だけで見事に感情を表せていて、うなりますねぇ。声優たちがまたみごとで、とくに舞台回しというか語り部となる琵琶と名乗る女の子のしゃべりが特徴的で、耳に残ります。1話が20分強で見られるというのもいいです。

監督:山田尚子、脚本:吉田玲子、制作:サイエンスSARU、アニメーション・プロデューサー:崎田康平

「ベター・コール・ソウル」最終シーズン@Netflix

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本作主役である弁護士ソウル・グッドマン、本名ジミー・マッギル(ボブ・オーデンカーク)の相方、キム・ヴェクスラー(レイ・シーホーン)も本シーズンで終了。

ブラックリストのシーズン8が終了したと思ったらタイムリーに「ベター・コール・ソウル」の最終章、シーズン6の配信が始まった。今回はとりあえずエピソード3まで。

そもそもこのシリーズは、長大な「ブレイキング・バッド」のスピン・オフと言えるようなもので、ブレイキング・バッドよりちょっと前の時代から始まり、途中から登場人物もブレイキングと被り始めるように綿密に作られていて、脚本のヴィンス・ギリガンの手腕には驚くしかない。

主役のジミーが本名とは別に職業(弁護士)用にソウル・グッドマンという珍妙な名前を使い始める。これって、米人だとIt's all good, man!(すべてうまくいくぜ!)ってな具合に聞こえるらしく、初めて聞いて失笑が漏れる場面もある。ま、そこがジミーの狙い目なんだろうけど。

この作品の流れは二つあって、ジミーとキムの組む連合が絡むさまざまな弁護ケース、それと

元警官のマイク(ジョナサン・バンクス)、同業の息子を正義感ゆえに死なせたことで、
それがトラウマに。

この器用な”何でも屋”、マイクが絡む手荒い闇ビジネスという流れを同時進行させる手法をとっている。主な舞台はニュー・メキシコ。当然、ドラッグ・カルテルの取引と彼ら同士の凄惨な殺し合いの場面、多数。第4話以降の配信が待たれる。