ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

連続で第九を聴く

220910 今日は我が家から30分のミューザ川崎で第九を聞きました。うちの合唱団のh一人が合唱に出るので、ありがたいことに、彼女から指定席券をいただいちゃいました。これがいい席で、連続で幸運が続きます。

前半は誰も知っている世界の民謡を混声にアレンジしたものでした。おもわず一緒に歌いたくなるものばかりでした。

ソリストの中で愚亭が知っている方は加藤宏隆さんだけでした。

休憩後、オケに続いて合唱団が入場しますが、P席に男声陣、両脇にソプラノとアルトという陣形です。3楽章が終わってから、ソリストが入場し、オケの真後ろに陣取ります。この時、オペラグラスを覗いていたのですが、拍手がないんです。普通、ソリストが入る時は必ず拍手するんですが・・・。ホール側も入場する際に舞台袖でスタッフが拍手して、聴衆に促すのですが、それもなし。ちょっと申し訳ないような感じでした。

変わった名前のオケですが、よくまとまっていて、かなり若い人が多いのに、いい音,出していました。ヴァイオリンは男女比が9:2、ヴィオラは半々、チェロは全員男性、逆にコンバスは全員女性,木管は1:9と極端に女性ばかり。金管はその逆、ただホルンは半々でした。面白い偶然でした。

特に注意してオペラグラスを覗いていたのは、フルート、オーボエクラリネットファゴットの首席4人の塊で、全員女性で絶妙にアンサンブルを奏でていました。ついでに美人揃い(どうでもよい情報ですが)

一昨日の芸劇の時とは異なり、普通の演奏(高速ではない)でした。バリトンの第一声、朗々と加藤宏隆さんが響かせていました。そうそう、これが普通の入りなんです。

合唱は高津市民合唱団に加えて、一般公募で50人が全部で12回の練習で本番に臨んだそうです。松平 敬さんの指導だから、できたのかも知れません。9割方、暗譜でしたが、間に合わなかったのか譜持ちの方がチラホラ。

アンコールは「ふるさと」をオケと合唱用に編曲したもので、心に沁みました。

終演直後です。この後,アンコールに。

ソリストさんたち、前へ出てきました。

よく入っていました。8割方埋まりました。

 

ひさしぶりに芸劇へ。

220908  このホールに来たのは、前回がいつだったか思い出せないほど遠い昔。やはり池上あたりから池袋というのはかなりの遠隔地ゆえ、どんどん足が遠のいていきます。

午前中に、出演者(合唱)の方から連絡があり、予定なければ来ませんかとまさかのお誘い。

第九は毎年自分でも歌いに行くし、演奏を聴きに行くのですが、今回のはかなり異色の演奏でした。

このチラシ上部にあるマエストロの解説で、少し見えにくいですが、上の色のついている部分に注目です。こういう確かな意図のもとに振る方は、かなり珍しいと言えます。ここに書いただけでは意図が聴衆に伝わりにくいと思われたようで、演奏前に舞台に登場され、マイクを使ってフランス革命あたりから時系列的に解説がありました。

そして、問題の箇所、バリトンが朗々と「おお、友よ!」と歌う部分、これやりません!と。場内、ざわつきましたね。うまい持っていき方です。「いえいえ、歌わないんじゃないんです。いつもとは違うと申し上げているんです!」

俄然興味湧きますよね。はてさて、どうしようというのか、蓋を開けてのお楽しみ!その前に、フィンランディアがありました。上のチラシに完成稿(合唱付き)世界初演とあります。どの辺が世界初演かよくわからないのです。

私にはよく聞くフィンランディアで、重々しい荘重な調べで始まります。しばらくして、合唱が響きます。これがすこぶる気持ちの良いもので、ずーっと聞いていたくなるほどですが、そう聴衆に語りかけるようにして終わってしまいます。

一旦、短めの休憩が入り、さ、いよいよ始まります。第1楽章、驚くような出だしではありません。多少、速めかも、という程度なんですが、3楽章で、急に速くなる箇所がでてきたりして、こりゃ前触れ?そして4楽章へ。

確かにどんどん高速になっていきます。ま、例のメロディーのところは、それほどではないのですが、そしてバリトン、緊張の面持ちで、合唱団と共に立ち上がり、♪♪ O  FREUNDE ♪♪、来た、来た!なにやら歌うというより大声で語りかけるように、顔面を朱に染めてのど迫力!なるほど、こういうことかあ、と。

その後、部分的に超高速になったり、普通のテンポになったりと、最後のPrestissimoのところは、まあよくあるようなテンポで終演!!ウーン、面白かった!やはり、こういうのはアリですねぇ。マエストロの解釈がどこかにはっきりと表明される演奏って、素晴らしいです。別に奇を衒うのとは違いますからね。しっかりした裏付けがあって初めて説得力があるんでしょう。

合唱、すごかった!一人一人がソロを歌える力量を備えた人たちの集団ですから、ま、うまいのは当然なんでしょうけど、個人でうたうのとは違う歌い方で一つの集団としての”声”作りっていんですかね。そこにこの合唱団の強みがあるような。例えが悪いですが、4番バッター級だけ揃えても試合に勝てないチームって、時々ありましたからねぇ。

ソリスト陣、どなたも、以前から何回も聞かせていただいています。ま、最強の布陣でしょう。こんないい席で聞かせてもらっちゃいました。

合唱団、女声陣の一部だけです。ごらんのようにマスク姿なんで、どこにどなたがいるか、探すのは至難の技でした。それでこうして映像に収めて後でゆっくりと探して、いたいた、ここここ!って趣向で、それもまたお楽しみ。早くマスク外して歌ってほしいとつくづく思いました。今日はオケの弦楽メンバーも8割以上の方々,マスク姿でした。

高速演奏ゆえ、第九は全部で60分ほどの演奏時間。予定よりだいぶ早く家に帰りつきました。

「地球への讃歌」@豊洲シビックホール

220907

以前、同じ舞台で第9のソロを歌ったメゾソプラノ星 由佳子さんから案内をいただき、ほんとに久しぶりでもあり、小学校時代に住んでいた豊洲まで出かけました。なんと偶然ながら、伴奏ピアノは、うちの合唱団で伴奏していただいている早川揺理(ゆり)さん!滅多に遭遇しない偶然でした。

星さんはご覧のようにそれほど馴染みのない選曲でしたが、第一声を発するや否や、???これはなに?まるで別人のような響きなんです。すごいとしかいいようがない、4年前とは完全に異なる発声で、正直たまげました。こういうふうな奥深いメゾの発声ができる人、そうそういませんからねぇ。コロナ期をしっかり精進を続けられたんでしょう。立派なものです。

そして早川さん、いつも地元合唱団で間近で伴奏してくれていますが、舞台上で拝見するのは初めて。とてもエレガントな衣装に身を包んで登場、FAZIOLIに向かわれました。「久しぶりにイタリア人の恋人に会うような・・・」と表現された、まだ国内ではそれほど多くないイタリア製のピアノです。私のような鈍い耳にはスタインウェイなどとどこがどう違うのかよく分かりませんが、実に嬉しそうに、楽しそうに弾かれていました。

終演後のカーテンコールがなく、出演者の写真撮影ができなかったので、せめてもとFAZIOLIが乗る舞台だけ撮影しました。奥に広がる豊洲の夜景がきれいでした。(譜面台が邪魔してFAZIOLIの文字が一部しか見えないのが残念!)

星 由佳子さん(左)と早川揺理さん(ピアニスト)。

この画像は早川さんからお借りしました。(お返しする予定はないですけど・・・)

「ナルコス:メキシコ編 シーズン3」@Netflix

220908

シーズン3の配信が始まりました。ナルコスは、コロンビア編を本編とすれば、メキシコ編はスピンオフ・シリーズという位置付けになります。コロンビアといえば、最も有名なメデジン・カルテルで悪名をほしいままにしたパブロ・エスコバルを主人公に据えた本編、たっぷりと楽しめました。

メキシコ編シーズン1, 2は、フェリックスが仕切る世界。演じた俳優のせいか、エスコバルに比べると迫力に欠けてはいましたが、柔和な顔ですが、頭脳プレーを随所に発揮して、アレヨアレヨという間にのし上がっていきましたが、悪運尽きて投獄されます。

そして、シーズン3はその後、メキシコでは誰がのさばるかということで、ここで登場するのがアマード!こいつがまた風貌に似ず、頭のいい男で、つぎつぎにライバルを蹴落としていきます。ちょっとだけですが、本編登場のコロンビア、カリ・カルテルのパチョが登場するのが懐かしいです。

他に、重要な役割を果たすのが米国国境沿いの町、エル・パソに駐在する米国麻薬捜査官(DEA)のウォルト(見た目、冴えないんですが、勘と度胸は抜群)、地元紙の女性ジャーナリスト、アンドレーア(演じるルイザ・ルビーノがやたらかっこいいです!)、それとしがない警官、ヴィクトル。

フアレスの地元新聞記者アンドレーア、いい勝負勘を持ってます。

ウォルトは信用して一時期行動をともにしていたメキシコ側の捜査トップがアマードと結託していたことを知らず、利用され、大いに傷付きます。アンドレーアは地元で地味な活動をしていますが、強い信念で、上司を説き伏せ事件の核心に迫りますが、上司が暗殺され、彼女のつかんだネタは日の目を見ることなく終わります。強い挫折感。

ヴィクトルは、信じられない安給料で、ほぼ全員が法を犯してゆすり・たかり、強盗などをやっている一人で冴えない生活をしています。ある時、偶然絡んだ事件から加工特別区エル・マキラドーラで働く女性の大量殺人事件を知り、ホシを挙げようという、かつて持ったことのない正義感から身を滅ぼします。

第4話の監督はなんと本編の主役パブロ・エスコバルを演じたワグナー・モウラが務めています。

最後、アマードが入院した病院であっけなく人生の幕を下ろします。彼が最後に愛した黒人女性に全財産を貢ぎ、あらかじめ用意しておいたチリのどこか海の見える小高いところの豪邸で、彼のいない寂しさを、赤ワインでまぎらすところで「完」。多分、シーズン4、あると思います。

「ノリのミラクル大冒険 with キンシュー」@座・高円寺2

220831

と、まあこんな珍しい演目を見てきました。贔屓にしている青栁・江口夫妻、手作りのコンサート、しかも今回は詩吟とのフュージョンという趣向です。ま、好奇心マックスの夫妻ですから、毎回アッと驚くような企画を立て、それを実行に移すということを次々にやって、我々ファンを手玉に取りまくります。

平日の昼下がりでしたが、ほぼ満席はさすがです。お二人ともコミュ力抜群ですから、集客は毎回、完璧です。今回は敢えて夫妻の出番を控えめにし、上本訓久さんとか岡昭弘さんを前に出していました。もちろん、詩吟の大家、お二人にも大活躍させていました。

このノリさんですが、私はこれまでなんども彼がタイトルロールを張ったオペラを見ていて、おおよその力量はよく知っているつもりです。ですが、今回の舞台では、まったく別の顔を見せてくれました。ひょうきんぶりとヤンキー臭さ、もうそこにいるだけで笑えてしまう、これがこの人の本領かと思うほど。

前半に歌った「カタリ」、「帰れソレント」などのナポリ民謡ですが、日本人でここまでナポリ方言を”らしく”歌える人って、滅多に知りません。後半の冒頭、「グラナダ」もいい味を出してましたが、バリトンの岡さんとの「ドン・カルロ」からの「友情の二重唱」にはしびれました。

この詩吟という世界、あまりこれまで馴染みがなく、まともに聞くのはほとんど初めてのような気がしますが、いやはや、実に聞かせてくれました。フュージョンは大成功でしょう。聴衆の反応にもはっきりと表れていました。

他に目新しい趣向として、プロジェクションマッピングを駆使して、さまざま舞台展開をしてました。費用対効果は知りませんが、容易に舞台転換できてしまう点では、これから多用されることになるのでしょうか。

さあ、次はどんなクセ球を繰り出して、ファンをまどわすか、楽しみがまたひとつ。