ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「フェデリコという不思議な存在」(イタリア映画祭)

140504 原題:CHE STRANO CHIAMARSI FEDERICO(フェデリーコと呼ばれるなんてヘンなの)

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⬆冒頭とエンディングは日没直前の海辺で、ディレクター・チェアに座るフェッリーニの後ろ姿。右に置かれているのは愛用のメガフォン。

」や「」など衝撃的な作品を残したフェデリコ・フェッリーニに対するオマージュ的作品。フェッリーニより10歳以上も若いエットレ・スコーラにとって、親しくもあり、また雲の上的存在だったフェッリーニへの憧憬や情愛を込めて、フェッリーニ作品からの映像や再現シーン、メーキング・フィルムなどを巧に編集して仕上げている。

 

往年の大スターたち、マルチェッロ・マストロヤンニ他、アニタ・エクバーグ、ジュリエッタ・マシーナロベルト・ベニーニなど多数登場する。

 

才気あふれる青年フェッリーニがローマへ上京、当時発刊されていた風刺雑誌「マルコアウレーリオ」社に採用してもらおうと自分で描いた風刺画を何枚か携えて社長に会う1939年から、没する1993年までを描いている。劇中、フェッリーニとスコーラとおぼしき人物二人が影絵のように顔は出さないが声だけでローマ市内をゆっくり車を走らせながら、フェッリーニ映画の登場人物たちと対話するような趣向も効果的に取り入れている。

 

中でも、路上絵師が、路面にチョークで聖人画を極彩色で描いているところに出くわし、車から降りて、絵師をからかうが、なかなか面白い人物なので、車に同乗させる。商売を絵師から聞かれて、映画監督と答えると、絵師は自慢げに、「映画は第7の芸術だからなぁ」と宣う。絵画、建築、彫刻、音楽、詩、演劇、そして映画だと、堂々意見を開陳され、思わず苦笑する二人が面白かった。

 

同行した学生時代からの親友をして、「懐かしい映像ばかりで、涙が出て来るよ」と言わしめるほど、次から次へとフェッリーニ全盛時代の懐かしい映像が登場する。同時に、彼が描いた実に巧みなカリカチュア風カットも多用されている。

 

 #37 画像はイタリア映画祭公式サイトから