ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ノア 約束の舟」

140616 原題:NOAH  138分 米 監督・製作・脚本:ダーレン・アロノフスキー(「レスラー」、「ザ・ファイター」、「ブラック・スワン」)主演はオージーのラッセル・クロウと、ジェニファー・コネリー

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結論から言えば大いなる駄作。いわゆるCG大作で、洪水の場面など、いくつか見せ場があるだけで、筋書きはかなりかなり粗っぽいと言わざるを得ない。主役ノアの心の揺れをもう少し丁寧に描いて欲しかった。

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それに、前半、地平線まで荒涼たる地表を描いていたのに、洪水が近づくと、どこからともなく、ゴマンと人が登場するのは不自然の極み。ちょっとだけ出て来る蛇の頭やらイブが誘惑から逃れられずに食べたリンゴの映像がまるで安っぽいアニメ風で、これは笑えた。また、最終的にはノアたちの箱船作りに貢献することになる堕天使が、岩で出来たぶざま極まる巨人というのも、もう少し何とかならなかったのか。

それと神学論争ではないが、この種の作品は当然ながら解釈を巡って教会関係、宗教筋から文句が出ること必定。旧約聖書の大事な場面だけに、うるさい連中が出てくるのはやむを得ないし、それだけの覚悟を持って製作したのだろうが、案の定、一部のイスラム教の国では公開中止が決まっている。

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愚亭のごとき無宗教人間には、聖書の話を土台にした単なるフィクションと捉えれば、別にどうということもないのだが。「十戒」ほか、聖書を土台にした作品は古来、いくらでもあるのに、何故今回だけ、これほど話題になったのか。それは、やはりノアが忠実に神との契約に従う決心をしておきながら、最後は人間性や家族愛を貫く決断をするという辺りだろう。ここいらは、若干説明がつきにくい。イサクの犠牲とは訳が違うのだ。

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主演のラッセルとジェニファーの共演はこれが三度目。最初の「ビューティフル・マインド」でも夫婦役だったので、息もピッタリ。尖った鼻とくぼんだ眼窩に太い眉が特徴的なジェニファーも現在43歳だが、えらく老けた印象。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」で衝撃的デビューを果たしたのは14歳だったから、映画界では既に大ベテラン。

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見るたびに大きく体型を変化させるラッセル君、今回はかなりのメタボ型で、相変わらずいい味を出している。演技力も申し分ない。

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今回は追加料金を払ってIMAXで見たので音響も含めて迫力満点。ただ3Dもそうだが、こうした効果は最初のうちだけで、そのうち、それが当たり前で特に大迫力を感じていないことに気付く。従って、余り追加料金払ってまでこだわることもないようだ。

#49 画像はALLCINEMA on line及びIMdbから