ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「パークランド/ケネディー暗殺、真実の4日間」

140708 原題:PARKLAND 

これまで何度となく関連本が出版され、映像化もされた話だから、今更感がないわけではないが、本作は大統領が狙撃されてから、市内のパークランド病院に担ぎ込まれ、居合わせた病院スタッフにより懸命の蘇生術を施されるも、その場で絶命するまでを、丁寧に描くという点で、他の作品とは異なる。脚本・監督はこれまで監督経験がほとんどないジャーナリスト出身のピーター・ランデズマン(ランズマン?)

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実写フィルムを一部使っているが、本作のために撮影した部分とのつながりはかなりシームレスに仕上がっている。また手持ちカメラを多用することで見事に臨場感を盛り上げている。

この暗殺事件は、事件から75年、つまり2039年まで待たないと(或は永遠に)、真実が明かされることはないだろう。飽くまでも各人の想像の範囲内で、真実の犯人は現時点では不明。原作者であるヴィンセント・ブリオーシは、オズワルドの単独犯説らしいが。

最も緊迫する場面は、勿論暗殺の瞬間であるが、それを別にすれば、遺体を一刻も早くワシントンに運んでしまいたいシークレットサービスを含む側近たちと、地元テキサス州の検死官が遺体を前に激しく言い争い、と言うか罵倒合戦を演じるシーン。州法か連邦法か、どちらが優先するか。やはり後者だろう。

 でも、あの時、すぐに遺体解剖と検視を実施していれば、まったく違った展開になったろう、とは後にマリリン・モンローウィリアム・ホールデンロバート・ケネディなど数々の著名人の検視を行ったトーマス野口(ロサンゼルス検視局局長まで上り詰めた日本人)の弁。

 最後まで諦めきれずにケネディーの胸を押し続ける宿直研修医ジム(ザック・エフロン)の脇で、ケネディーが頭部を粉砕された時に、思わず掻き集めた脳みそや頭蓋の一部を両手で大事そうに持つジャクリーンの姿が哀れである。ケネディーが典型的なアジソン病を患っていたとは知らなかった。

例のザプルーダー・フィルムですっかり有名になった人物、観光客かとずーっと思っていたら、地元のアパレル業者で、撮影が大の趣味だったザプルーダー氏だった。この人物、なかなかえらい人で、フィルムを直ちに供出せよと迫る当局に屈せず、かと言って非協力的だったわけでなく、実に賢明な処理をしている。

最終的に、ライフ社に日本円で5千万円ぐらいで、権利を譲渡し、その一部をオズワルドに射殺された地元警察の遺族に贈ったりしている。彼の死後、遺族が1ドルで権利をライフ社から返してもらっている。

ところで、冒頭で「この話は実話に基づいおり、登場人物も実名で登場」と字幕でだしておきながら、エンドロールでは、「ここに登場する人物はすべて架空であり、仮に実在の人物に似ているとすれば、それは偶然である」って????

 #58 画像はIMdb及びALLCINEMA on lineから