ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「コジ・ファン・トゥッテ」@府中の森芸術劇場

140803

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応援している江口二美さんが、初役でフィオルディリージを演じるという、いささか緊張の舞台。蓋を開けてみれば、実に堂々たる演唱で、終始Bravissssimaであった。

主役陣は、4人4様にすばらしく、バランスが取れていて、十分楽しめる舞台に仕上がっていた。姉妹の二重唱も、二人の声質が絶妙のハーモニーを生み、どの演目も素敵な響きだった。

やはり特筆すべきはフィオルディリージのアリア、前後半それぞれ1曲ずつが長大で、しかも高低差がハンパでないから、ソプラノにはかなりハードだった筈。それにしても、きちんと本番に合わせるプロ根性には頭が下がる思い。

男子二人も、力強いハーモニーは、立派だった。二人ともまだ若いだけに、今後が楽しみだ。グリエルモ役の田中大揮さん(31)は、表参道の河合楽器パウゼで一度聴いたことがあり、余りの大きさ(声及び体格)にびっくりしたが、是非スケールの大きな歌手に成長して欲しい。

ただデスピーナが、本調子でなかったようで、いつもの精彩をやや欠いたように見受けられたのが残念だった。

ところで、このオペラ公演だが、ここをフランチャイズにしているアンサンブル・アイン・ライム定期演奏会で、飽くまでもオケが主役という、少しばかり珍しい演奏会。それにしても、アマチュアの域を越えているような素敵な響きにシャポーだ!

このホール、今回初めて体験したが、小振りながら細部までよく出来たホールだった。もとより本格オペラ公演を考えて作られたものでないから、舞台空間が限定的。そこへ二管編成とは言え、オケがのっかるから、演技する床面がほんの僅かしか残されていない。オケの両サイド、オケの後ろ側、そしてパイプオルガンのある床を効率的に活用しての上演となった。従って、前の方の席はオケに視界が相当遮られたようだった。

入場時に出演者からタイムリーにメールが着信、「真ん中より後ろに座るように」と有り難いアドバイス。ベストポジションで堪能した3時間だった。

終演後は、いつものように、江口さんのご家族及び応援団のみなさんと、駅前の居酒屋に繰り出し、美酒を楽しみながら、オペラ談義を延々と。

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