ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」

141010 原題:ABOUT TIME 英国映画 124分 邦題はアバウト・タイムだけでは収まらず、説明文を副題で付けちまった!確かに、時の過ぎゆく様を愛おしむことがテーマではあるけどね。

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⬆️やっと射止めたメアリーとの結婚式は、時ならぬ暴風雨に見舞われ散々。でも、濡れそぼろうと、せっかくのヘアスタイルが台無しになろうと、そんなことは今の二人にはどうでもよいのだ。

タイム・トラベルなどというSFものは好きではないけど、これはそのことを「売り」にしていない作品らしいので、見に行く気になった。見ていて、デジャヴュ感に襲われたのは、「フォー・ウェディング」を思い出したからだ。無理もない、監督・脚本・製作総指揮が、そのリチャード・カーティスだもの。

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コーンウォールに住む一家。一人息子のティムが主人公。さえない日常を送っている弁護士である。彼女いない歴も、すでに長い。そんな折、21歳の誕生日に父から重大な秘密を聞く。この家系、男子だけにタイム・トラベル能力があると言う。一笑にふすティムだったが、暗いところで両手に力を込めるだけと聞いて、洋服ダンスで試すと、あら不思議!

ただし、大昔には戻れないし、もちろん歴史を塗り替えることなどもってのほか。自分自身に起きたことの少し前に遡れるという、ま、かなり限定的タイムトラベル法なので、ちょっとしたヘマをやらかした時に、何度か利用することに。

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⬆️いつもより、かなりダサい役のレイチェル・マクアダムス

そして不器用な彼も、この特殊能力のおかげでメアリー(マクアダムス)という女性とめでたく一緒になることができるという話。ま、これだけじゃ、それこそ話にならない。この作品のいいところは、家族の絆や、とりわけ父性愛とでも言おうか、一人息子ティムに対する父親の愛情をほのぼのと、そして細やかに描いてみせる部分だろう。

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ティムは一応弁護士としてもそれなりに食えるようになり、ロンドンへ進出するが、事あるごとに、コーンウォールの家族の元に帰ってくる。イングランド南西部、海の見える家で、家族と過ごすことの大切さを説く父親。癌におかされ余命いくばくもない中で、二人してタイムトラベルで戻ったのは卓球に打ち興じる、それこそかけがえのないひと時。

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父親役のビル・ナイの演技が素晴らしく、息子に一瞬一瞬を大事に生きろと、照れくさそうに説くシーンはかなりウルウル来るなぁ。ティムを演じたドーナル・グリーソン、確かに風貌も冴えないし、その辺にごく当たり前にいるイギリス人(実際はアイリッシュだが)である。でも、逆にそれがこの作品に、なんとも言えないぬくもりを与えていたのではないか。

監督はNZ出身、ビル・ナイと、その弟をやるトム・ホランダーがイギリス人、レイチェル・マクアダムスはカナダ人と、多彩なスタッフ・キャスト陣である。

#85 画像はALLCINEMA on lineとIMdbから