ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

東京文化会館で嘉目真木子リサイタル

150303 ちょうど開場時間の10時半に到着したら、すでに長蛇の列。平日の午前というのに、この有様。無理もない、今が旬の嘉目真木子がワンコインで聞けるのだから。

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よく練れた選曲だ。まず冒頭にはO MIO BABBINO CARO、無論彼女が昨年1年間留学したフィレンツェゆかりの曲だ。簡単なように聞こえる短い曲だが、実は、きちんと歌おうと思うとなかなか思うようには行かない難曲ではないか。朝の11時というのに、完璧な歌唱である。相当綿密に準備した様子が窺える。

この人、アタシは5年前の2010年6月、目黒パーシモンホールでの


「これがオペラだIV」MADAMA BUTTERFLY : ぐらっぱ亭の遊々素適

シリーズの一つ「マダム・バタフライ」のタイトル・ロールで初めて聞かせてもらって以来、大きな関心を持って注目してきたが、イタリア留学を経て、大いなる進化を遂げていることを、冒頭のこの1曲で鮮やかに印象付けたと思う。

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上は、2012年の東京音楽コンクールの第2次予選で、10名中4名の合格発表直後の画像。この時歌った一つが今回最後に歌ったドニゼッティアンナ・ボレーナのこのアリア。3年を経て聞くこの名曲も、また格別であった。この時は、二期会パリアッチ」の本公演でネッダを演じていて、そのちょうど中日に参加したという綱渡り出演。そして、本選では、1位なしの2位という最高位を射止めた。

アンコールは「オテロ」から「アヴェ・マリア」。しっとりとしたエンディングだった。随所で、すでに完成形に近いレベルまで達していることを示してさえいるように感じた。

今回、もう一つ気づいたのはトークが格段にうまくなったこと。特に、てにおはに気をつけながら、極めて正確な表現を終始心がけているように思えた。それと、ソプラノだが、話し声がかなり低いことにも改めて気付かされた。

今後が大いに楽しみな歌手の一人であることは間違いない。

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