ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

結局、今年もフランスへ

150921 初秋の旅行をどうしようか、5月ぐらいから思案中で、あれこれ迷った挙句、今年もまたパリを含むフランスの旅となってしまった。変わり映えしないが、仕方ない、どうしても1年に一度は行きたいと言われる以上。

最近は、パリ+ワンにしているが、地方主要都市はあらかた行き尽くしていて、悩ましかったのだが、前半は、40年ぶりとなるリヨンに宿泊することに。

ところで、連日報道されている中東からの難民問題だが、リヨンでもパリでも、全く気配すらなかったのは、やや意外だった。あるいはこれからなのかも知れないが、いずれにしろ、フランス人とて安閑としてはいられないだろう。

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今や、自宅で打ち出せる搭乗券、ペラペラで頼りないが、要するに右上の読み取りコードが大事で、ここに旅行のすべての情報が入っているようだ。復路では、前日にスマホに確認のメールが入ってきて、事前チェックインを促され、指示に従って、シートアサインまで完了。プリントアウトができず、空港でスマホの画面をかざすだけであっさりOK。旅のスタイルも変われば変わるものだ。

今回、初めて羽田発のAF夜行便を利用。ただでさえ夜明け前に着いちゃうのに、これが予定より1時間も早く着いてしまい、パリ到着は3時半!!こういう場合の繰上げ到着は、ぜんぜん嬉しくない。何せ乗り継ぎのリヨン行きは8時半の出発だからねぇ。これに備えて、本やらiPodやら(カミさんはもっぱらスドク)いろいろ考えてきてはいたが、結局、後から考えれば、何やってたんだか思い出せないほど、あっけなく時間は過ぎていったようだ。

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パリからリヨンまでは離陸したら、着陸準備みたいな感じで、な〜にも出てこないと思ってたら、コーヒーとクロワッサンが。でも、ぜんぜんおいしくなかったけどね、このクロワッサンは。

リヨンの空港は、リヨンが生んだ作家で操縦士、アントワーヌ・サン=テグジュペリにちなみ、2000年にリヨン・サン=テグジュペリ空港と改名された。TGVも乗り入れていて便利なのは良いが、市内と結ぶトラム(低床の市電、いわゆるLRT)が開通したことで、それまであったバス路線が廃止となり、たった30分も乗らないというのに、15ユーロ(2千円)もするのだ!どう考えても高すぎ。

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これがローヌ・エクスプレスと称する空港⇄市内を結ぶトラム。ま、都電に毛の生えた程度のシロモノ。着いた途端にふんだくられたようで、気分は良くない。(尤も、翌日行くことになる近郊の村、ペルージュまでのバス代が1時間20分もかかる距離でありながら、たったの2ユーロ(¥280)!、なんなの、この落差は。

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リヨン・パールデュー駅からはタクシーでやはり15ユーロほど。着いた先は、⬆︎この奇抜な外観のアクソテル。ローヌ川の川っぷちにある。リヨン・ペラーシュ駅から徒歩8分ぐらい。素晴らしい立地でもないが、悪くはない。

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リヨンは周知の通り、ローヌ川とソーヌ川が合流するところにあり、従って、この辺がPresqu'ils, つまり”半島”と呼ばれている地区。

ここは130室の近代的なホテルではあるが、部屋は狭く、シャワー・オンリーであるから、日本人にはやや不向きか。愚亭など、毎日シャワーしか浴びないから、バスタブへのこだわりはないが。

早速歩いて15分と言われて、市心のベルクール広場へ。

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広場の一角に陣取る観光局へ行き、乗り放題のカードを買ったり、翌日行くペルージュへの行き方の情報をもらったり。ここからの眺め。遠くにフルビエールの丘と、そこに建つバジリカ聖堂が、折からの青空のもと、よく見える。

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ベルクール広場へ行く途中、小さな広場があり、中央に誰かの銅像が。見れば、アンドレ=マリ・アンペールと読める。そう、あの電流の単位、アンペア!こんな街の出身だったとは、つゆ知らず。この歳になっても、知らないことだらけだ。

ついでながら、当市出身の有名人では、他に美術収集家で、とりわけ東洋美術収集で名を馳せたエミール・ギメ、画家のピュヴィ・ドゥ・シャヴァンヌ、ルーブル本館にかかっている大きな絵の主人公、レカミエ夫人ことジュリエット・レカミエ、オペラ歌手、ナタリー・ドゥセなどなど。

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滞在三日目は、フルビエールの丘へ。さすがに急勾配ゆえ、このようなケーブルカーで結ばれている。パリのモンマルトルのケーブルカー同様、あっという間に着いてしまい、景色を眺める余裕なし。

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ケーブルカーを降りると、すぐ目の前にそびえるのがバジリカ聖堂。内部はただ、だだっ広く、サクレクール同様、あまり風情があるとは言えない。奥に見えるのは、パリが万博用に建てたエッフェル塔に対抗して建てた電波塔。冴えないねぇ。

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リヨンはまたギニョール(人形劇)の町としてもよく知られている。これはギニョールの生みの親とも呼ぶべきロラン・ムルゲの銅像。下の浮彫が可愛い。

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実際に劇を見に行こうと思っていたギニョール劇場だが、時間が合わず、結局見ずじまい。

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旧市街の中心は、このサン・ジャン大司教教会。1180年から300年かけて建てらた堂々たる大伽藍。ファサード、尖頭アーチの下の位置には、聖人たちの立像が彫られていることが多いが、ここは何もなし。やや奇異な印象を受ける。

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美食の町と言われるリヨン、料理は美味であることは認めるとして、どこでも量がハンパじゃない。ものとは試しと、もともと内臓料理は嫌いなのに、やたらにメニューに登場するAndouillet(豚の腸詰料理)をオーダーしてみたものの・・・ま、でもこの美味しいムタールのタレに助けられて、ほぼ完食。自分としては上出来。付け合わせのポテトパイがむやみに美味しかった。

リヨンに行ったら、Halles de Lyon Paul Bocuse(リヨン市場ポール・ボキューズ)を勧められる。夕方7時半頃行ったら、ほとんどがすでに閉店。空いている店はめっぽう高く、断念。食べきれない量が出てきて、しかもめちゃくちゃ高いんでは、目も当てられないからね。ランチで行くのがベストでしょう。

他にも”食”の関連では、ここでしか味わえないチョコレートがあるからと言われて、何軒か覗いたが、これまた目の玉の飛び出すような値段ばかり。それにお土産にするには、直行でないと難しそうで、これも断念。

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旧市街にあるガダーニュ博物館の一角にあるマリオネット博物館。日本のものも含めて世界中の人形が収納されていて、趣味の人には垂涎の場所かも。

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疲れきっちゃったカミさんを先にタクシーでホテルに帰して、一人でリヨン美術館へ。やはりフランス第3の都だけのことはある。

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まずはこの絵。館内食堂の壁面いっぱいに描かれたデュフィの大作「セーヌから海へ」。パリ市近代美術館の巨大壁画も有名だが、それに負けないほどの作品。こんなところで、食事ができるなんて、なんと贅沢な!

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フォアイエから2階へ上がるところにピュヴィ・ドゥ・シャヴァンヌの壁画が3面に描かれている。照明が暗く、よく見えないのが残念。「芸術とミューズたちによって崇められる聖なる森」の一部。

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いかにもルノワールらしい作品。「ギターを弾く少女」

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エトルタを描いた作品は数知れず。モネ自身も何作か描いているが、この荒れた海は珍しい。

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同じくモネの作品。ロンドンの夕日だが、ほぼ同じ図柄の作品がブリジストン美術館にある。

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明日はパリという晩に、ホテル近くのビストロで食べたグルノーブル風サラダ。何がグルノーブルなんだかよく分からないが、胡桃、グリュイエール、ハム、トマト、など、とにかく健啖家でも、持て余すボリューム。まさに食べても食べても減らず、閉口した。

普段、自宅では一切アルコールを口にしないが、その代わり、一度旅に出ると、人が変わったようによく飲むことにしている。だいたいビール(Un demiと言って、生ビールを50cc)、その後に白か赤のPichet de blanc (rouge)。1/4の量だから、たかが知れているが。

明日はいよいよパリ!

(続く)