マルモッタン美術館の作品を中心に90点の展示ということだが、残念ながら、数多いモネの作品の中では、傑作はほとんど来ていない。⬆︎のポスターの絵、すなわち印象派という呼称の元になった「印象、日の出」は、今月の18日までの期間限定出品で、まったく残念だが、今の展示には含まれていない。そうなると、ますます寂しい内容であることを、覚悟して行くべし。
ただ、息子ミシェルからマルモッタンに遺贈された作品が多く、息子たちの幼少時の肖像画が4点ほど含まれているのが珍しいかも知れない。人物画はあまり描いていないモネだけに、なおさらである。
例によって、高齢者無料日を利用して観覧したので、あまりえらそうなことを言ってはいけないのだが・・・。ま、それでも、以下の作品は良かったと思う。
今、見られる中では、これがベストだろう。サンラザール駅を出たところに掛かるヨーロッパ橋を遠近感たっぷりに力強く画面に入れている。この橋、ギュスターヴ・カーユボットの「ヨーロッパ橋」に登場する独特の風情のある橋。⬇︎
モネが描いたサンラザール駅は、何点かあるが、駅の構内に大きく機関車を手前に描いた作品の方がよく知られているのではないかな。
上はオルセー美術館所蔵の作品。愚亭はこれが一番好きだ。
⬇︎はロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵の作品。
⬆︎以前、パリへ行った際に撮影したヨーロッパ端から眺めたサンラザール駅。
睡蓮が多数来ているが、多分、これが今回展示された中では、一番美しい作品と思えた。
モネが晩年白内障に罹り、色の感覚がおかしくなったとされているが、それ以降の作品の代表作。
最後の部屋は、こうした何を描いた作品か判然としないようなものがズラリと並んでいる。
たまたまボートがあったのだが、作業道具が乗っていたのが残念至極。
例によって、閉館間際に行くつもりだったが、高齢者無料日で、いつもより相当混むと予想して、早めに行ったら、案外スイスイ入れてしまった。それでも、人混みの頭越しに見るような塩梅で、晩年のこうしたモヤモヤの作品群の部屋は、さすがにガランとした感じ。観覧している側も、何か戸惑ったような風だった。
⬆︎閉館30分前