ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

オペラ・ブーフ「青ひげ」@なかのZERO大ホール

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楽しくなければ、オペラ・ブッフではないと思うけど、本作は、その意味で、終始笑わせてくれて、大満足。アリアは原語(仏)、その他は日本語と、当然ながら、日本人の観客にはありがたかった。セリフも短かく、明瞭で、少々耳が遠くなりつつある高齢者にも問題なく届いた。それに随所に、今話題の時事問題や社会事象を風刺的に盛り込み、まことに効果的だった。これが島田道生氏(テノール)の初演出だったとは、恐れ入る。

主演のお二人は、元来コミカルの味を持っているので、まさにぴったり。歌も踊りも、ちょっとした動きも、どれもこれもがおかしく、これ以上の組み合わせはないのではないかとさえ思ったほど。他のソリストたちも、持ち味をしっかり出されて、舞台を盛り上げていた。(前日公演の別組も素敵な舞台を創っていたと聞いている)

マエストロ飯坂 純の振るオケも温かみのある音色を奏で、迫力ある合唱団も存在感たっぷり。舞台のセットも素晴らしかったが、豪華なコスチュームにも驚かされた。相当予算を押し上げたのではないかと、余計な心配まで。

東京オペラプロデュースは、故松尾 洋が1975年に立ち上げた名門組織。HPを見ると、初回は1975年7月、出し物はビゼーの「ミラクル博士/スペインの時」という珍しいもの。場所は杉並公会堂。出口正子大島幾雄という大物の名前が見える。

応援している江口二美さんも何度も東京オペプロ公演には出演している。今回と同じ会場では、「天国と地獄」(2007.6)、それと忘れようにも忘れられない東日本大震災の翌日、関係者が悩み抜いて公演に踏み切った「フォルテュニオ」がある。

こうした歴史ある東京オペプロも公演回数を重ね、間もなく節目の100回を数えることになる。さて、どんな演目を100周年に持ってくるか、今から大変楽しみだ。

 

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