ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「10 クローヴァーフィールド・レーン」

160623 原題も:10  Cloverfield Lane  米 103分 監督:

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目が覚めると、見知らぬ部屋。身体中があちこちが痛む。腕には点滴の針が刺さり、右足にはギプスがはめられ、さらに鎖で支柱に固定されている。遠くにある自分のスマホをなんとか引き寄せるが、圏外。

夜のハイウェイを疾走していたミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)は大音響と同時に崖下に転がり落ちたことをやっと思い出す。でも、なぜ自分がこんなところに繋がれているのか、理解不能。

次第に分かってきたことは、ハワード(ジョン・グッドマン)と名乗る大男が自分の車に激突して、負傷した彼女を、彼のシェルターに連れてきたらしいということ。

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この地下シェルターには、他にエメット(ジョン・ギャラガーJr.)という若い男性の先客がいる。ハワードの話では、地球は異星人の攻撃を受け、汚染されて、もはや住めないので、ここにいるしかないのだと告げられる。ミシェルには到底受け入れられる話ではないから、それとなく必死で脱出の機会を窺う。やがて、意外な形で、その”時”が訪れるのだった。

ここまでが全体の2/3で、動きの少ないシーンが続くがハワードが一体何者で、何を考えているのか、彼の言っていることは事実なのかどうか、ミシェルとエメットには半信半疑。3人のやり取りが、見ている側にも極度の緊張感を与え続ける。

そして、最後の1/3で、謎が解明されていくのだが、前作(とされているが、実際はそうではないとも。ただ、前作のタイトルもクローバーフィールドではある)と大きく異なるのは、この最後の部分の描き方。本作の方に圧倒的に利がある。

前作があまりにもアホらしい出来だったので、今回は見るつもりもなかったのだが、評判がすこぶる良いので、見ることにしたのだが、うまく作られていると思う。人物描写、とりわけジョン・グッドマンメアリー・エリザベス・ウィンステッドが素晴らしい。

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大写しになる彼女の表情、特に目の動きが、画面に見えていない部分まで伝えてくるようで、一瞬たりとも目が離せなかった。この女優、以前の出演作は一本も見ていないが、注目株の一人だろう。

終幕近く、誰もいない荒野に10 Cloverfield Laneの標識が転がっている場面が秀逸。

#52 画像はIMdbから。