ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「光をくれた人」

170606 原題:The Light Between Oceans 米・豪・NZ合作 133分 脚本・監督:デレク・シアンフランス

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ほぼ事前情報なしに見に行ったが、期待以上。灯台守夫婦の感動話かなぐらいの興味しかなかったのだが、なかなかどうして、単なる感動ものでなく、結構、緊迫感もあり、優れた作品。そう言えば、昔「喜びも悲しみも幾歳月」('57 松竹、木下恵介監督、佐田啓二高峰秀子主演)という邦画があった。

舞台はオーストラリア、時代は1918年、すなわち、第一次大戦終戦後の話。従軍して、激戦地からなんとか生還したもののPTSDに悩まされる主人公トム(マイケル・ファスベンダー)、臨時の灯台守として採用される。一番近い町から160kmも離れた絶海の孤島で、一人暮らしは、さすがに厳しい。

その後、正式採用となり手続きで一旦町に戻っている時に、町の名士の娘イサベル(アリシア・ヴィカンダー)と知り合う。いつしか惹かれ合う仲に。島にもどってから二人の間に文通が続き、PTSDから徐々に立ち直るきっかけとなる。

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その後、結婚した二人には二度の流産という悲劇が待ち構えている。意気消沈しているところに、ボートが島に漂着。中にはすでに絶命している父親らしき人物、傍に元気な赤ん坊が。早速当局に知らせようとするトムを必死で押しとどめるイザベル。結局、そのまま二人だけの秘密として、自分の娘として育て始める二人。

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 それから数年後、思わぬ展開が・・・ここから、死んだ男の妻で、赤ん坊の母親、ハナ(レイチェル・ワイズ)が登場し、ぐいぐい物語に引きずり込まれる。

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ラストシーンは1950年だから、約30年後、海の見える高台の一軒家で静かに一人暮らしをするトムのもとを赤ん坊を抱いた女性が訪れる。沖に沈む夕陽が辺りを赤く染める。

マイケル・ファスベンダーアイルランド人の母親を持つドイツ人、アリシア・ヴィカンダーはスェーデン人だが、小柄で浅黒く、スェーデン人には見えない。レイチェル・ワイズはロンドン生まれの英国人。「ナイロビの蜂」が印象に残るが、46歳の割には劣化が目立ち、残念。

撮影のほとんどはNZで行われたらしい。第1次大戦後の話と分かって、欧州のどこかが舞台と早合点していたが、途中でウォルツィング・マティルダを皆で歌う場面が出てきて、オーストラリアと知った次第。

#32 画像はALLCINEMA on lineとIMDbから