ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

アルテリーベで原 千裕を聴く

170807 台風が近づく中、またも西新橋のアルテリーベへ。今日は、まだ新人の部類に入る原 千裕を聞きに行った。何年か前、杉並公会堂での「メリー・ウィドウ」にオルガ役で出演していたのを後で知った。本人には申し訳ないが、ほとんど覚えていない。現在、東京メトロポリタンオペラ財団のスターファームの一員として研鑽を積んでいる。

今日は、会った瞬間から意気投合したという”相方”ピアニスト、植村美有と練りに練って組んだプログラムが、これ!ウーン、確かに凝りまくっている。演目をメニューに見立てることは珍しくはないが、ここまで徹底している例は少ないと思われる。

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やや凝りすぎ気味で、曲名がどれだか、わかりにくいのから、マーカーを引かせてもらった。アンコールは、リヒァルト・シュトラウスの「モルゲン」。

前半はドイツリート、後半はウィーンのオペレッタ主体。残念ながら、今回はイタリアものはゼロ!

後半になって、やっと知っている曲がどんどん登場したが、前半は、おそらくほとんどの客にとっても、馴染みの薄い曲ばかりだったような気がする。一番後ろの席に陣取っていると、客の反応がよく分かる。

どのような客が来るかにもよるだろうが、演目構成の決定は、やはり困難を極める作業だろう。自分が歌いたい演目、客が聞きたい演目、それが一致すればそれに越したことはないが、そうでない場合、どのように”楽しませるか”にかかって来ると思う。円が重複するスペースをどれだけ広げるのが最適なのか、今後も模索してほしい。

原 千裕は凄みのある太い声も、輝く高音も持っており、ヴォイスコントロークも巧みで、対応能力の高さを感じた。それに舞台度胸がハンパではない。本人は否定するが、それは舞台を見ていれば、すぐ分かる。伸びしろたっぷりで、楽しみな歌手がまた一人。

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席はほぼ埋まっていた。

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後半の冒頭は「ヴィリヤの歌」から。コスチュームも決まっている。

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「ヴィーリヤ、おお、ヴィーリヤ・・・」聞き入っているのは、ここのオーナー。

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この秋には、二人で吹き込んだドイツリート、フランス歌曲のCDが発売されるそうだ。このユニット、「TOMATOPOIREAU」(トマトとねぎ)という可愛い名前がついているが、CDのタイトルはINVISIBLE(目に見えざるもの)と何やら謎めいている。@¥2,000。

#41 文中敬称略