170818
恒例のイベント。以前は銀座のヤマハホールで開催されていたように思う。それと抽選制だったから、最近は行く機会が減っていた。今回からは渋谷のさくらホールでの開催。抽選制もなくなり、普通のコンサートになった。
この会場は、舞台の空間が広く、音響がいいので、実に聴きやすくて、好きなホールだ。比較しては申し訳ないが、つい先だって聞いたサンパール荒川でのマダムバタフライでは、装置の関係で反響板を外しているから、まったく声が響かず、そのくせ、オケが手前にあるから、やたら伴奏が大きく聞こえて、歌い手には気の毒だったことを思い出した。
みなさん、この暑い中、熱演の連続で、存分に楽しめた。山田精一が欠場で、進行役もやっていた大野徹也が急遽代役を勤めた。また楽しみにしていた岸 奈美子も体調不良か、欠場で、大いに落胆!
どの組み合わせも素晴らしかったのだが、とりわけ印象に残ったのは、
野村光洋が大西ゆかと歌ったドン・パスクアーレからの二重唱。彼の持つ重い声、それでいながら軽妙な演技には、今日も引きずり込まれた。
久しぶりに聞いた鷲尾麻衣、今や二児の母。貫禄も出て、その分、以前より声も艶やかさを増したように感じられた。小鉄和宏との二重唱は、さすがの名唱。小鉄は、ベテランらしく、嫌味なくうまくリードしていた。
醍醐園佳と水船桂太郎の二重唱、美男美女で、そちらに寧ろ神経が行ってしまっていた。水船もすでにベテラン入り。輝く美声は、まだまだ若い者には負けられない気迫のようなものを感じた。
糸賀修平と上江隼人の二重唱も聴かせた!上江もベテランだが、糸賀が猛追して、ほぼ互角の演唱で聴き入った。
先日、杉並のカヴァレリアで聴いたばかりの小泉詠子、ロッシーニも上手い!アジリタもよく効いていて、芸域が結構広いことを知った。
ソロでは、
1年ぶりに聞いた前川健生は、この難しいアリアを見事に歌った。やや太めのテノールで、高音域もぶれず、何か昔のサルヴァトーレ・リチートラを思わせるような歌いっぷりであった。ヴィヴラートをほとんどかけていないのは、意外だった。あえてそうしているようだ。かかり過ぎるよりは余程いいが。
これまた久しぶりの大澤一彰、特別滑らかな歌唱は健在。スペ〜〜〜ランツァもなんのその!
大沼 徹、もう何度も聴いているが、この名曲はあまりこれまで聴いたことがない。確かに声質からすると、少し違うかなと思わせる部分もないわけではないが、そこは芸達者な彼のこと、終わってみれば、すっかり魅了されていた。
大御所の永井和子、大倉由紀江、黒田 博、場内の喝采が一段と大きかった。
(新入会員による)クリスタルコーナーで登場した二人のソプラノ、完成形までもう少しだが、フレッシュな印象で好感を持った。
ピアニストの山岸茂人、伴奏者に対する拍手が今日ほど多かったことは余りないような気がする。外連味のない、そして端正で、キリッと分をわきまえた弾き方、今日登場の歌手たちはきっと歌いやすかったのではないか。
先月のオペラマニア並みの出演者の多さ!全員乗り切るのにいっぱいいっぱい。
左から永井和子、糸賀修平、上江隼人、小鉄和広、鷲尾麻衣、小林由樹、小泉詠子、野村光洋、大西ゆか
#46 文中敬称略