ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

加藤康之テノール帰国記念リサイタル@伝承ホール(渋谷)

170902

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こういう優れたテノールがいること、まったく知らず、企画したフランコ酒井から聞いて初めて知ることとなった。ルッカをベースに活躍されていたわけだから、日本で存在が知られてないのも宜なるかな。

興味津々で第一声を聴いて、思わず仰け反りそうに。細身の身体で、よくあそこまでと思うような大音声の高音を会場いっぱいに響かせ、こちらの耳がどうにかなりそうな感じだった。仕草もいかにもイタリア仕込みで、どこか日本人とは異なる印象。こうして、また一人、素晴らしいテノールが聞けることとなって、嬉しい限り。

今日はこの方に加えて、今や日本のテノール界では頂点に立つ一人と認識している笛田博昭、それに天は二物組のお一人、鈴木玲奈が出演という、少数精鋭豪華版!後ろの席に空席が目立ったが、もったいない!こんな素敵なコンサートは滅多にないし、今日来場した客は儲けものと思ったはずだ。

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さすがフランコ酒井、素晴らしい選曲ではないか。更に、これに加えて、アンコールで以下の歌が熱唱された。

1. COR'INGRATO (薄情け)              笛田博昭

2. MUSICA PROIBITA (Gastaldon作曲)             加藤康之

3. CANDIDEから「きらびやかに着飾って)          鈴木玲奈

4. O SOLE MIO                        笛田博昭、加藤康之

5.アンドレア・シェニエから「ある日青空を眺めて」          笛田博昭

5番目はプログラムにあるように加藤康之が歌う予定だったのだが、いかなる事情か急遽「誰も寝てはならぬ」に変更。加藤もこれだけは、いささか?がつく演奏だった。俄仕立て感、あり。途中の音の出し方が切れ切れになっていた箇所が何回かあり、アレレ?という感じだった。他が全てBravissimo!!!だっただけに、ちょっと残念。

今後、日本をベースに活動されるようだから、大いに楽しみにしたい。

笛田は、さすがに安定した歌いっぷりで、メリハリもあり、評判通りの歌唱に終始。場内騒然!

初めて聞く(!)鈴木玲奈が、また凄かった。こんなにうまいソプラノがいるのに、今まで聴いたことがなかったとは、われながら呆れる。一緒に言った旧知のファン仲間からも呆れられた。月並み表現だが、絹糸を引くような、細くきれいな高音が随所に聞かれたし、絶妙なアジリタもたっぷり堪能。とりわけキャンディードの「きらびやかに着飾って」は場内を唸らせた。歌唱だけでなく、振りも可愛らしく、思わず笑いが出てしまうような仕草も大好評!今日はいろんな意味で大収穫、フランコ酒井には感謝したい。

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最後列からスマホで撮影すると、この程度の写真しか撮れない。(言い訳)

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加藤康之。凄い曲が続いたので、少々お疲れ気味かも。

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鈴木玲奈。遠目でも美しさは認識できたが、近くで拝見してもこの通りの美しさ!

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左は企画・構成・進行を今日も見事に果たしたフランコ酒井。右はオフィスカランク代表の金澤(大森)麻里。これからもどんどんいい企画をお願いしたい。お疲れさんでした!

それにしても伴奏の藤原藍子さん、急な変更やらリクエストやらに見事に対応されていたのはさすがである。

#54 (文中敬称略)