171001 いつの間に、新しいホールが川崎にできていた。川崎駅から市役所通りを東、1.5kmぐらいと、やや中途半端な距離。歩けば15分。東口からバスがいくらでも出ているけど、西口のミューザに比べると、アクセスにやや難ありの印象。
今日はオープニングのガラコンサートが開催され、藤原歌劇団のトップクラスのソリストと合唱団が出演とあって、結構な入り。
2000人を超える収容力を誇る内部はこんな感じ。木(もく)を多用しており、見栄えは悪くないし、音響もそこそこのレベル。ただ、ロビーやトイレがねぇ〜。いかにも安普請の印象。せっかくこれだけの中身を作ったのなら、それに見合う施設を揃えないと、釣り合いが取れないし、ちょっとがっかりだ。
バーコーナーとか、普通のクラシックのホールなら必ずある飲食の設備がない。いろんな催し物を考えているのだろうが、オペラの本公演などもすでに予定されていて、世界的なソプラノ歌手も登場する。そういう国際的出し物に来る客は多分、落胆するだろう。
ついでながら、カルッツという名称も、???。特に音の響きも字面も必ずしもいいというわけでもない。どうやら当日進行を務めた藤原歌劇団総監督でバリトン歌手でもある折江忠道が紹介した通り、カルチャーとスポーツを絡めた造語らしい。
まあまあバランスのいい演目が並んだ。
光岡暁恵は、藤原が売り出しに一番熱を入れているソプラノの一人だろう。廣田美穂も以前からその力量は知っているが、きょうはまた一段と凄みを感じさせるものだった。
向野由美子は、メッゾゆえ、派手さはないものの、いかにも堅実で安定感ある歌唱は以前から折り紙つき。98年からフォローしている村上敏明、ひさしぶりに聴いたが、その輝かしい高音は健在で安心した。
折江忠道は現在68歳というから、それで現役を続けているというだけでも、素晴らしいことだ。今日は藤原の宣伝がやや多いように感じたが、ま、これは許容内だろう。
藤原合唱団のうまさには舌を巻いた。一緒に乗った川崎市民合唱団も負けじと頑張っていた。最後の「ナブッコ」からの「行け、我が想いよ、黄金の翼にのりて」は、今年の海の日で自分たちも歌っているから、自然に口が動いてしまった。いつ聴いてもすばらしい歌だ。
#64 (文中敬称略)