ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

ゲヴァントハウスを聞くのは、初めてかな。

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世界最古の市民レベルのオケ、ライプツィッヒのゲバントハウスを聞く機会が。切符を買っていた姉が体調不良のため、譲ってくれたもの。

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オペラや歌舞伎ならいざ知らず、オケ演奏で、この値段は払った記憶がない。昔から姉は音楽大好き人間ではあったが、ここまで出してでも聞きたいとする同楽団、あるいはブロムシュテットに対する思い入れの凄さに驚嘆。

@¥22,000のB席でも、2階最後列の中央セクション左端に近い位置。でも、よく聞こえるし、舞台への登場人物の顔に興味がなければ、ここで聴くのになんの不満もないどころか、大満足!

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ヘルベルト・ブロムシュテット(ドイツ語風の発音だが、スェーデン人。スェーデン語ではちょっと違う発音のようだ)が90歳、独奏バイオリンのレオニダス・カヴァコス(名前ですぐギリシャ人と分かるが、アテネ出身で、現在は本業のほか、指揮者としても活躍中。間もなく、ロジャー・ノリントンの後釜としてカメラータ・ザルツブルクの音楽監督就任予定とか)が50歳と、二人ともに節目の年の演奏会を東京で開催するというのも何かの縁か。

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年齢からしても、ブロムシュテットはこれが聞き納めの演奏会になるかも知れず、聴衆の大拍手はいつ果てるともなく続いた。

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カヴァコスが弾いたブラームスのV協も素晴らしく、何度カーテンコールが繰り返されたろう。アンコールにはバッハ無伴奏パルティータ#2からサラバンドを絶妙な弓技で披露した。この人、190cmもありそうな巨体、肩まで垂れる長髪と、かなりの異相というか異形のヴァイオリニストだ。

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今日はヒゲをきちんと剃っていたから、この写真のようにはむさくるしくはないが・・・。

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さて、ゲバントハウス管弦楽団、昔ライプツィッヒが東独に属している時代に研修ツアーで外観だけは、見ているが、聴く機会がないままこの日を迎えた次第。なにせ1743年に出来たというから!かのウィーン・フィルが登場するのがちょうど100年後の1842年、さらにベルリン・フィルはその40年後というから、その凄さが分かろうというもの。

もちろん古いから素晴らしいというものでもないが、演奏の伝統というものは脈々と受け継がれるものだから、よく分からぬが、演奏スタイルもやはり世界でも抜きん出た存在ということは、今日の演奏を聞いても十分納得。何がどうという風には書けないが、とりわけ弦の音色に圧倒されっぱなし。普段、安い演奏会やただの演奏会しか聴いていない耳には恐ろしく新鮮に響いた。

管も負けてはいない。2番目の演目、シューベルトの「ザ・グレイト」の冒頭部分、ホルンが短いが印象的に響かせるパッセージがあるが、やすやすと美しい音色を出していたかと思うと、オーボエがそれを引き継ぎ、以後、特に首席奏者は全楽章をほぼ出ずっぱりという、大変な役回り。2番の女性奏者もよく頑張っていて、面白いことに、二人とも上下動が激しく、これがまた息があった動きで、見ていて楽しかった。

当然、終演後、ブロムシュテットはまっさきにオーボエの二人にスタンディングをさせるかと思いきや、指2本立てて、ホルン奏者を指したのには驚いた。結局、オーボエ2番は立たせてもらえず、ちょっと気の毒。

普通、プレイヤーが両サイドからわらわらと出てきて、頃合いを見計らって、コンマスがえらそうに登場して喝采をもらう図に慣れているが、この楽団の場合は、まずコンマスが真っ先に登場。それから他の団員が登場して全員揃うと、お辞儀をするというスタイルで、これは自分にはとても新鮮だった。

「ザ・グレイト」はあまり聴く機会がなかった演目だが、とにかく3楽章までが実にすばらしい。4楽章は、あまり変化がなく、かなり冗長に感じてしまったが、それでもこの楽団でこの曲を聴けたというのは、かなり刺激的なことだった。姉に感謝である。

 ⬇︎ゲヴァントハウスのCDを買う人でごった返すロビー。これまた珍しい光景!

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#77 (文中敬称略)