ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「はじめてのおもてなし」

180116 独 WILLKOMMEN BEI DEN HARTMANNS(ハルトマン家にようこそ)116分 脚本・監督:ジーモン・ファーフーフェン

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ドイスが現在抱える難民問題と、今の普通の人たちの日常の家庭環境、ついでに社会問題などを皮肉りながらも、笑いに包まれたヒューマン社会派ドラマに仕立てている。

ミュンヘン郊外のおしゃれな一角に、結構立派な家を構えるハルトマン一家。外科医のリヒャルトは、急速な老いを意識し、妻のアンゲリカは、鬱々とした日々をワインに紛らわして、庭いじりに精を出している。

息子のフィリップは投資会社の経営者として辣腕を振るってはいるが、離婚後、一人息子との間はぎくしゃく。娘のゾフィーはなにかにつけて父親が進路について口を出すから、”自分探し”で32歳にもなって、まだ学生を続けている。

一家が集まったある日、突如アンゲリカが難民を自宅に預かりたいと言い出すから、全員、椅子から転げ落ちそうなほどびっくりする。しかし、アンゲリカの意思は固く、家族も折れるしかない。

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かくして、難民センターから一人のナイジェリア人の男、ディアロがこの一家の一員となって、ドイツ語を学びつつ、一家に溶け込もうと努力を続けるのだが、近所の目、世間の目、とくに右翼系住民は必ずしも好意的に見るどころか敵意をむき出しにし始める。

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ついに警察沙汰のトラブルが・・・ま、最後はこの通り⬆︎ハッピー・エンディングを迎えるが、今起きている切実な問題だけに、遠い国の出来事として笑ってばかりもいられないのだ。他山の石とすべき時も来るかも。

この作品、見るきっかけとなったのは、アンゲリカを演じるセンタ・バーガーを何十年かぶりに見られると知ったこともある。現在76歳、その昔は妖艶な役も多く、アラン・ドロンとの共演作「悪魔のようなあなた」(1967)はリアルタイムで観ている。ちなみに本作の監督は彼女の息子。

その頃は、一つ年上の、やはりドイツ女優エルケ・ゾマーなどと並び称せられ、どちらかと言えば肉体派女優で、久々の銀幕登場は、先日見たばかりのミレーヌ・ドモンジョ(「ルージュの手紙」)同様、懐かしさが込み上げてくる。

#5 画像はIMDbから