180222
昨秋も見ているが、ホールを替えて、ほぼ同じキャスティングの上演を見て来た。前回よりはるかに小規模な会場で、こんどは前から4列目左端に陣取ったので、その効果か、あるいは他の要素か、今回の方が圧倒的に自分には手応えがあった。→前回のブログ
まずは定番、ブルーアイランド先生のトークが15分ほど。毎度のことだから、ポンポン、面白い話を繰り出して、会場を沸かせる。これが楽しみで聞きに来るファンも少なくないだろう。演者一人ずつ紹介もしていたが、われらが江口二美については、オペラもポピュラーも同じようにできる稀有な歌手で、テレビの女子アナ風でもあると、妙な紹介ぶりだが、これは相当褒めているのだから、ご本人も裏でニンマリだったろう。
ところで、なにはともあれ、6人の女声陣のがんばりには、心からの脱帽である。正味2時間を超える長丁場、しかも昨年出来たばかりの新作であるから、ここまで仕上げるのがどれだけ大変なことだったか!!ほんとによくぞここまで頑張ったと手放しだ。
前回とは若干演奏スタイルを変えたのは、今回は若手指揮者に任せて、舞台上にはピアニストが二人で伴奏。んで、先生は、と言うと、客席最前列脇で、総譜を見ながら、時折、鞭の音を手で叩いて出したり、拍手したりと確認作業に余念がない。
今回、唯一女中シャルロットだけが昼組と入れ替わって、牧野庸子が演じた。男声も顔負けなほどすごい低音を出されることにびっくり。歌の出番が6人中、一番すくないこともあり、今回も間奏曲として、先生の先生筋にあたる林 光の曲を歌われ、客席も手拍子と一部歌唱もやらされた。
昨秋、伝承ホールでの公演の際は、シャルロット役、実川裕妃が頭に火のついたロウソクを立てて凛々しく登場。突如、アズチェーナの「炎は燃えて」を歌い出し、???だったが、やはりあれは唐突過ぎたと先生。それに他人の作品だからという理由で、ご自分に多少縁のある林 光の曲にしたと説明が。
さて後半、3幕では、1幕からすでに18年が経過している場面。モントルーユ夫人など80歳を超えているという設定。皆、往時を懐かしみながらの演奏となる。修道院行きを決めたルネ、かつて「アルフォンスは自分です」と言っていたのを「ジュスティーヌこそ自分です」と言い換える。「ジュスティーヌ」はサドが書いた作品で、不幸を一身に集める美徳の塊のような女。
実在しない二人、サンフォン伯爵夫人(肉欲・悪女)とシミアーヌ男爵夫人(聖女)の出番、すこぶる多いし、結構長いアリアを二人に割り当てていることがよくわかった。
見終わって、改めて思った。作曲って、どんだけ大変なことだって。それとやはり6人の頑張りが感動を呼ぶ。今回は助演も登場し、細々した裏方を勤め上げていた。
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