180529 原題:ISLE OF DOGS 米 101分 原案・製作・脚本・監督:ウェス・アンダーソン(49歳、「ムーンライズ・キングダム」2012、「グランド・ブダペスト・ホテル」2014)まさしく鬼才と呼ぶにふさわしい映画人の一人だろう。これまでの作品でも、本作同様、監督だけでなく、複数の役割もこなしている。ストップモーション・アニメとしては2作目(前作ファンタスティックMr.Foxは見ていない)
よくこんな映画、創ってくれるよなぁと思える、まことに奇想天外な作品である。とりわけ犬好きファンにはたまらないだろう。まず、舞台が未来の日本に設定しているところが面白い。
冒頭いきなり軽快な和太鼓のシーンでワクワクさせられる。そして、面白いところは日本人(らしい人物も含めて)には日本語で喋らせ、犬たちは英語でという組み合わせで、それぞれのセリフに互いの字幕が入るという寸法。
犬たちの声をやっている俳優たちのなんと豪華多彩であることよ!監督の声がけで、ほぼヴォランティアで集まったというから、これも驚きである。どの犬をどの俳優が喋っているか、確認してから、もう一回じっくり見てみたい。一回だけではもったいない。
冒頭に出てくる侍は、どう見てもあれは仲代達矢(「乱」)だろうし、音楽も「7人の侍」から取っていて、黒澤明へのオマージュであることは明白。
犬たちの作り込みもまた素晴らしい。アルパカの毛を利用したらしいが、ストップモーションとしての価値を大いに高めている。CGでは表せない世界観が見事だ。670人の製作スタッフが13万の作画をして作り上げたという。
蔓延する犬の病気から人間を守るために犬をことごとくゴミの島(犬ヶ島)へと隔離する政策をメガサキ市の市長が打ち出し、どんどん犬をその島へ送り込むのだが、この市長の養子のアタリが自分の愛犬までその犬ヶ島へ捨てられたと思い、単身飛行機で島へ向かい、そこでさまざまな犬たちとの交流を通じて、成長していく話。
原題のISLE OF DOGSは素早く発音するとI LOVE DOGSに通じるとしてこのタイトルにしたと言われているが、残念ながら、邦題ではこの含意が利かない。
#42 画像はIMDbから