180623
地元合唱団の指導者がパミーナを演じたので、他の団員10名ほどと前から4列目に陣取り、大喝采とブラーヴァを盛大に送った。出演の合唱団員の中に、嘗て第九を一緒に歌った仲間を発見したのも嬉しいことだった。
「劇場支配人」という演目は初めて聞いた。事前にYouTubeで検索しても、序曲ばかりで、歌手が登場するものがない。それもそのはず、上の説明で納得!下の「あとがきに代えて」に登場する黒田裕史の脚本はよくできていて、十分楽しめた。ソプラノ二人の競演も、なかなか聞き応えがあった。
ちなみに序曲だが、いかにもモーツァルトらしい、ウキウキワクワクするようなメロディーが随所に顔を出し、これだけが単独で演奏されることが多いのも大いに頷ける。
魔笛はもう何十回となく聞いているが、その都度演出や解釈が異なるので、毎回それなりに楽しめる。
今回は演奏会形式ということで、男性陣はすべてタキシードの正装だが、女性陣はそれぞれ工夫を凝らした可愛らしい、或いは豪勢なコスチュームで会場を湧かせていた。振りも適宜加わるし、背景の映像にも工夫が凝らしてあり、字幕も分かりやすく、全体にそれほどの違和感を感じずに楽しめたのはありがたい。
この寄せ集めと思われる「テアトロ・フィガロ管弦楽団」のうまさには脱帽だ!もちろん、小編成ながら合唱団もよく鍛えられた印象を受けた。
パミーナの藤永和望、この役柄にぴったりの美声の持ち主。夜女の内海響子は、黒地に銀色の縫取りのあるゴージャスな姿でせり上がって登場し、場内からため息が漏れるほどの存在感を示したが、肝心の超有名なアリアでは、失礼ながら、やや不発だったのは惜しまれる。
タミーノ、藤田卓也、藤原が誇る屈指のテノールだが、前半は今ひとつ調子がうわずった印象を受けた。しかし、徐々に本来のテクニックを取り戻し、終わってみれば、さすがの名唱の連続となった。
パパゲーノ、大川 博(元東映社長と同姓同名)は、歌唱も素晴らしかったことに加え、演技がそこぶる自然でパパゲーノになりきっていたのは賞賛されるべきだろう。終演後、本人に何度目か確認したら、なんと今回は初役!そんなことって???
ナレーションが入る分、舞台上の動きを割愛してすこし短縮したらしいが、実際には140分かかっていたので、ほとんどカットした場面が分からなかったほど。
パミーナ、衣装は自作らしい。才能ある人は何にでも。合唱団のメンバーと。
パパゲーノを見事に演じたバリトン、大川 博と、うちの団員。
ザラストロを演じた高橋雄一郎には、2年前、海の日のチャリティーコンサートでロッシーニの小荘厳ミサを合唱で歌った際、ベースのトラで参加され、お世話になった。今日は難しい役どころのザラストロを立派に歌いきった。
#36 文中敬称略