ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛」

181021 TULIP FEVER 105分、英米、原作・脚本:デボラ・モガー(原作者としては「マリゴールド・ホテルで会いましょう」、脚本家としては、「プライドと偏見、監督:ジャスティン・チャドウィック(イギリス出身、51、「ブーリン家の姉妹」2008)

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望まれて孤児院から富豪に嫁いだソフィア(アリシア・ヴィカンダー)、子供を産むだけを期待されての結婚ゆえ、将来になんの展望もなく、コルネリス(クリストファー・ヴァルツ)の言われた通りに過ごすだけの日常。

17世紀前半のオランダは東インド会社経由運ばれてくるチューリップ(原産地:カザフスタン)が珍重され、投機の対象になっている。中には住宅一軒分の値のつく珍種もあり、このアムステルダムでも、熱に浮かされるたように、人々は球根(バルブ)を手に入れようと必死だ。だが、このバルブのバブルは1年ほどであっけなく終焉。

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コルネリスは、ある日、新人の絵描きを自宅に呼び寄せ、夫婦の肖像画を描かせることに。当時、金のあるものが肖像画を描かせるのがステータス・シンボルの一つでもあった。

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ヤン・ファン・ロースという絵描き(デイン・デハーン)と作画中にソフィアと密かに通じ合うようになるのに時間を要しない。老いた夫に愛を感じないソフィアも若くハンサムなヤンに次第に夢中になる。

一方、この家には、若い家政婦がいて、魚売りと恋仲である。二つの恋物語が同時並行で進行、やがて偶然が偶然を呼び(この辺りの脚本の進め方、かなり粗雑)、うまく行くかと思われた展開が脆くも破綻、悲劇に終わるかと思えたのだが・・・。

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上の絵や、ポーズ、色使い、光の差し加減、並んでいる小道具類は、ヨハネス・フェルメールか、デ・ホーホの作品を彷彿とさせる。もちろん、作者はそれらを十分意識して画面構成していて、これを見るのも、結構楽しい。

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アリシア・ヴィカンダーは、随分たくさん出演作を見ているが、いまだにうまいのか、それとも単なる大根役者かよく分からないし、魅力もほとんど感じさせない不思議な、スェーデン出身女優。

他に、デーム・ジュディ修道院長役で出ているが、さすがの貫禄!

この邦題は、あまり感心しない。もっと短くまとめられなかったのか。芸がなさすぎる。

#78 画像はIMDbから。