181204 仏 113分 CE QUI NOUS LIE(我々を結びつけているもの)邦題は、英語タイトル BACK TO BURGUNDY(ブルゴーニュに帰る)から取ったのだろうが、人称が逆転している。監督:セドリック・クラピッシュ(「ニューヨークの巴里夫」2013, 「PARIS」2008、「スパニッシュ・アパートメント」2002)
ブルゴーニュ地方の典型的な中堅ドメーヌ(ワイン生産者)で生まれ育った3人。長男が10年ぶりに我が家へ戻るところから映画は始まる。
病気療養中の父に代わってドメーヌを取り仕切る妹、近くで別のドメーヌ経営者の一人娘と結婚して、そこでワイン生産に従事する弟。さっそく3人が感激の対面を果たす。
実は長男のジャン(ピオ・マルマイ)、大好きだった父親とはちょっとした行き違いから疎遠になり、世界のワインを見たいと、故郷を飛び出し南米やオーストラリアへ。旅の途中で知り合った女性と一緒になり、二人の間に生まれた幼い長男と、今ではオーストラリアでワイン作りを始めて5年。しかし、生まれ故郷のブルゴーニュへの郷愁、絶ち難く、また疎遠だった病床の父を見舞おうと帰国したのだった。
亡くなった母親の葬儀にも顔を出さず、今頃のこのこ帰って来やがってと激しく詰め寄る弟、ジェレミー(フランソワ・シヴィル)、口にこそ出さねど妹、ジュリエット(アナ・ジラルド)も同じ感情を抱いている。
ちょうどこのドメーヌでは収穫の時期を迎え、喧嘩している場合でないことは3人とも良く分かっている。いつ摘み取り作業を開始するか、ジュリエットが決めることになっているが、遠慮しつつも、摘み取り時期には一家言持っているジャンが自分の経験から妹に助言し、ジャンの案で開始することに。さっそく摘み取り作業人を急募、手順の説明などはすべてにジュリエットが采配を振るう。
作業人全員による収穫祭のどんちゃん騒ぎも終わり、今後の身の振り方について三人三様の考え方が交錯するものの、ブルゴーニュで生まれ育ったワイン造り手としての誇りを失うことなく、最後は見事なまとまりを見せるのだった。
フランスで、ボルドーと並ぶワイン産地、ブルゴーニュの豊かな自然を背景に、家族愛、兄弟愛が、あたかも芳醇なワインの味わいのごとくまろやかに描かれる佳作。
ワインの製造工程が結構詳細に描かれていて、そこも本作の見どころの一つ。
ジュリエット役のアナ・ジラルド、名前からしててっきり名優アニー・ジラルドの縁戚にあたるかと思ったのだが・・・。人気アイドル歌手、クロード・フランソワを描いた「最後のマイ・ウェイ」2012や「FOUJITA」2015に出演していたが、まったく思い出せない。それほど、印象の薄いタイプ。
撮影中のセドリック・クラピッシュ監督。
#83 画像はIMDbおよびALL CINEMA on lineから。