181212
正直、それほど好きな画家ではないが、午前中から4時間もイイノホールで、気鋭のオペラ歌手18人の選考会を聴いたあと、日暮里サニーホールでの第九合唱、初のマエストロ練習まで時間がありすぎるため、ちょうど中間にある西洋美術館に向かった。
時間調整で行ったようなわけだが、これがなかなかどうして、結構みどころ満載で、すこしばかりルーベンスに対する見解を改めなければならないことになった。
全部で76点の展示のうち、ルーベンスの作品は半分以下の30点。副題に「バロックの誕生」とあるように、彼の回顧展でないのは覚悟の上で見る必要がある。さらに、細かいことを言えば、30点のうち、この西洋美術館所蔵のものが2点、絵画以外の、彫刻や同時代、あるいは後世の、彼に影響を受けた画家の作品も数多く展示されている。
ルーベンスがあまり好きではなかった理由の一つに、先に大作ばかり見たことも、自分の中ではあるのかも知れない。とりわけ有名なのが、ルーブル本館の広い一室を埋め尽くすマリー・ドゥ・メディシスの生涯を描いた全24枚という途方もない作品群であり、巨大な肉の塊のごとき人物描写に辟易したいたよう記憶がある。
だが、今日改めて、ほんの一部であるものの、様々な作品に触れて、特に肖像画に卓抜した技を示したものが多いことに気づいた。そんな中でも、子供を描いた小品の素晴らしいこと!
大作では、工房で仕上げた作品が多く、いわば流れ作業のようにして、大量生産していたこともあまり好きになれなかった理由かも知れない。大作の多くの作品では画面構成の見事さに圧倒される。細部を省略する技法が用いられるとあるが、それが効果を生む場合と逆の場合があり、本当に上手いのかそうでないのか、疑わしい作品もあった。
今回、彼がイタリア旅行を通じて、少し前のヴェネツィア派のティツィアーノやティントレットに影響を受け、それを逆に後世の画家に影響を与えるという、いわば橋渡しのような役割を担っていたことも紹介されている。
詳細を見るにはTBSのホームページが参考になる。