190321 合唱仲間の一人が出演するというので、東京でのソメイヨシノの開花宣言がされたこの日、上野の杜へ。
好天、桜の開花、その上入場無料だから、満員にならない方がおかしい。5階席までびっしり。一緒に聞く仲間が先に予約のためにはやばやと並んでくれたおかげで、1階左側の割にいい席を確保してくれて大助かり。
まずはストラヴィンスキーの「火の鳥」の演奏。アマチュアでも老舗の名門オケだけに立派な演奏だ。
休憩後、お目当のドイツ・レクイエム(ブラームス)! レクイエムと言えば、三大と言われるフォーレク、モツレク、ヴェルレクを聞く機会が圧倒的に多く、本作を聞く機会は比較的少ない。
いずれもそうだが、本作も荘重、荘厳に静かに始まる。ヴェルレクなどに比べると、全体に、テンポやリズム、音の大小など、大きな起伏があるわけでなく、あくまでもしずしずと進行していく印象が強い。また、ほどんど合唱が歌いっぱなしで、合間にすこしだけソロが入るという展開も特徴的だ。
横山和美、上背のある大沼 徹と入場すると親子ほどにも見える小柄な姿だが、歌唱は広い場内のすみずみまで響き渡るもので、聴衆の多くが多分驚いたと想像する。ピュアな声質もこの曲にはぴったりという感じだ。
一方の大沼は、すでに日本のバリトン勢では、押しも押されもしない堂々たる地位を築いている。伸びのある高音に特徴のあるハイ・バリトンというジャンルに属するのか。ついでに、チャーミングな人柄も手伝って、とりわけ女性ファンの間には人気沸騰中。
合唱団の入場から少し遅れて入ってきた二人だが、オケの中段に用意された席に座り、それぞれ出番になると、前へ出て歌うという方式は比較的珍しい。
それにしても70分と言えば、自分も合唱団員として先日うたったばかりのヴェルレクより少しだけ短いのだが、大きな違いは独唱はごく僅かで、合唱がずーっと歌いっぱなしというところか。しかも立ちっぱなしで、これはきつい。高齢者には耐えきれないだろう。
#15 文中敬称略