190411 ブロガー対象の内覧会に参加。
会場に用意されていた見どころガイド、ジュニア版と書いてあるが、大人向けでもある。
確かに妙な呼称であるが、英語というか学術名ではPRE-RAPHAELITISMというのだから、正確な訳語と思われる。ラッファエッロ・サンティ(1480-1520)は、ルネッサンスの2大巨人、レオナルドとミケランジェロよりわずかに遅れて登場し、37歳で没してしまった天才画家で、その後の時代はマニエリズムと呼ばれる、技巧的で面白みに欠ける絵画が出回る時代。
そこで、前派の連中はラファエル以前の時代に回帰して、誠実味のある丁寧な絵画、自然をじっくり見極める作品を目指したということか。具体的にはジョット・ディ・ボンドーネ(1267-1337)などをイメージしてたのかも知れない。
今回の展示作品数は147点、画家の数は22人にのぼる。
まずは今回の担当キュレーターである野口玲一氏(⬆︎左)と、モデレーターを務める中村剛士氏によるトークショー(約30分)で概要を掴む。例によって中村氏の軽妙な進行で、野口氏もつい口が緩み、エヴェレット・ミレイとジョン・ラスキンの関係、とくにドロドロした「ミレイによるラスキンの妻、横取り」事件にまで触れて、面白おかしく解説してくれたのが印象に残った。
ラファエル前派でもないターナーの作品があるのはなぜかと思えば上記のような事情で、少しラファエル前派の作品に”色をつけた”ということだろう。企画展としてはその方が吸引力は上がるしね。また、美術評論家、思想家であるジョン・ラスキン自身、結構描いていて、彼の作品も前派展に花を添えた感じだ。
第1章は、ほとんどが水彩画の小品、さらに表面を覆うガラスの反射でうまく撮れないため、割愛。唯一、油彩のターナーの「カレの砂浜ー引き潮時の餌取り」の撮影。⬇︎
ということで、あまり好みでない作品の撮影は割愛している。このタイトルの企画展にしては、同時代の作品群以外にもちょっと前のターナーまで含めて、幅広くカヴァーしており、見応えたっぷりな展覧会である。
蛇足ながら、ターナーのカタカナ表記で、ジョゼフ・マラード・ウィリアム・ターナーとして統一してあるのが気になった。Mallordをマラードと表記するのは、無理がある。まして、この人物は英国人であり、マロードとしない理由が自分には判然としない。
会期は6月9日まで。
なお、上に掲載した画像はすべて主催者から特別な許可を得て撮影されたものです。