ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ホフマン物語」(演奏会形式)@五反田文化センター

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知った出演者が多数であること、会場が割に近い、値段が手頃と三拍子揃ったので、見に行った。

今年は2月に一度「ホフマン物語」は見ているが、今回、演奏会形式ということで、これは初めての経験。実は、今回、新たな発見があった。それは、視覚要素が薄れたおかげで、聞く力が増強され、今までになくホフマン物語の良さをたっぷり堪能できた気がする。

それにしても、今更だが、ジャック・オッフェンバックの凄さを痛感させられた演奏会だった。かくも随所に美しいメロディーがちりばめられていようとは、今まで感じたことがなかった。

ホフマン物語といえば、自動人形オランピアが歌う「生垣には小鳥たちが」と「ホフマンの舟歌」がとりわけ有名であるが、他に、アントニアの「雉鳩は逃げた」、ダッペルトゥットの「きらめけダイアモンドよ」など、思わず一緒に口ずさみたくなるようなアリア、クプレ、ロマンス、二重唱、三重唱など満載。その意味でも今日は聞きにきて大正解だった。

今回の主宰者、オペラノート代表、須藤慎吾の上手さには舌を巻く。10年ほど前からの注目株だが、完璧に国際クラスである。ちょっと昔で言えば、声のデカかったジャン=ジャコモ・グエルフィ(1961年第3回イタリア歌劇団で来日)を彷彿させる。

もちろん歌いっぱなしの主役、ホフマンを演じた所谷直生のうまさも特筆すべきもので、ヘルデンテノーレという部類だろうか、高音の連続をものともせず歌いきってBravissimo~~~~!!!。彼の演唱は、これまで噂には聞いていたが、初めて聴いて想像を遥かに超える素晴らしさであった。

オランピア、アントニエッタ、ジュリエッタ、ステッラの4役を演じた天羽明恵、思えば人生で初めてオランピアの例の歌を例のフリで見た(聴いた)のが紀尾井ホールでの天羽明恵!もう、今から25年ぐらい昔の話だ。

それだけの時間差を楽に忘れさせてくれるだけの歌いっぷりは、さすがである。自動人形の動きは演奏会形式ゆえ、かなり控えめにされていたが、歌はあの頃とほとんど変わっておらず、そのあたりは大したものである。4役、すべてで衣装、ヘアスタイル(含む、ウィグ)を変えて登場したのは彼女のみ。

ミューズ/ニクラウスにはベテラン、鳥木弥生。まあこの人のことは、本ブログでも散々触れていて、絶賛してきているので、改めて付け加えることはないのだが、まあそれにしても、舞台映えのすること!

その他、ややマイナーな役ながら、うまさを存分に発揮した小山陽二郎、石塚幹信、巌淵真理、村田耕太郎、堀内丈弘、大島嘉人、大澤恒夫にも惜しみない拍手を贈りたい。また長丁場の伴奏を一人でこなしたピアニスト、江澤隆行、お疲れ様!!!

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準主役たちと合唱団員

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オペラノート主宰者、須藤慎吾、さっそくCD購入したファンのサインに応じる。


#42 文中敬称略