191102
ほぼ満員の盛況。高齢者の姿、すこぶる多し。都響には申し訳ないけど、井上道義ファンが多数詰めかけていた模様。
同じ頃に作曲されて、同じ日(1808年12月22日)にウィーンで初演された、あまりにもポピュラーなこの2曲で、しかもこの指揮者、さらにこの価格なら満員は当然だろう。
愚亭も小学校5年で初めてこうしたクラシックに触れ(それまでは家に蓄音機がなかったから仕方がない)、すぐに好きになったのが「田園」。前半、あまりにも心地よくついウトウト。途中から、オペラグラスでつぶさに団員や指揮者の振り方を見ていた。
「田園」では、指揮台をあえて外して、広々した平場で、好きなように、踊るが如く指揮をしていたが、「運命」では、指揮台を据え、しっかりした振り方に変えていた。この人のパフォーマンスや身振りはやはり日本人離れしていて、ちょっとしたジェスチャーがごく自然で、かつ嫌味がないのは持って生まれたものなのだろう。
終演後、主だった奏者を指して喝采を浴びさせたりする場面でも、指示が明確ゆえ、奏者がまごつくことは皆無。基本的に首席を極度に重要視する姿勢が顕著。握手する際、第1プルトでも、首席としか握手しないから、次は自分かとうっかり手を出したヴィオラ奏者がスルーされ、思わず苦笑いの場面も。
「田園」では、上手奥にティンパニー、すぐ下にトランペット、右にトロンボーンと並ぶのはよいとして、トロンボーンの右手、つまり舞台の前方になんとピッコロ奏者が。「田園」の第4楽章、嵐の場面でピッコロが耳をつんざくような高音を発するが、そのために前に出したか。
「運命」は奏者の数も2,3割増しだから、通常のならびに戻したが、なかなか興味ふかい楽器配置だった。
#69 文中敬称略