191111 劇場から案内をいただいていたイベントに。
あいにくの雨で、出足はいつもより鈍かったようだ。過去何度かこの催し物には参加している。
はじめに、演出、舞台美術、衣装、照明の責任者によるパネルディスカッションが映像入りで開催された。
今回の舞台装置が驚くほど緻密に製作されていたことで、その舞台裏を知ることができたのは大収穫。やはり実踏とでもいうのか、美術担当の横田あつみがローマに赴き、サンタンドレア・デッラ・ヴァッレ教会にしろ、ファルネーゼ宮(現在はフランス大使館として使用されているため、内部は見学不可だったらしいが)にしろ、実際に現地で見聞しているからこそ、これだけのものが作れたのだろう。
一部を入れ替えるなどして、骨格部分は見事な使い回しで無駄な費用を切り詰めていることが分かる。
主として舞台上で解説してくれたのは演出の粟国 淳。この人は生まれこそ東京だが、父親の仕事の関係で幼少時からローマで育っていて、今もローマに自宅があるそうだから、ほとんどローマ人。
衣装担当の増田恵美によれば、トスカの時代設定は1800年の6月という、かなり具体的。その年号で、その季節でローマではどういう衣装が実際に着用されていたかまで考察して決めていったそうだ。そこまで細かく考えて衣装を決めていく作業が求められるのだから、どれだけ神経を使ったことだろう。白は不可ということから、かなり鮮やかな組み合わせの1幕の衣装になったとのこと。
2幕では、一般的には情熱的な赤の衣装で「歌に生き、愛に生き」をトスカに歌わせることが多いのだが、演出側から今回は青でという注文があり、こうした鮮やかな青の採用に至ったそうだ。
また、照明の凄さというか大変さも、今回の説明を聞いて、初めて全貌が分かったような次第。紗幕が降りている場合など、スポットの位置が限られてくるための難しさなど、担当の大島祐夫から細かく語られた。
文中敬称略