200306
せっかくチケットを購入していたのに、コロナに恐れをなした姉が行かないというので、代わって愚亭が。このホール、前回いつ来たか記憶にないほど、久しぶり。天井が高く音響は悪くないが、床面がまったくフラットで、椅子の配置も、前列席と席の合間に後列席をセットするなどの配慮がされていないから、視覚的にはやや難ありという印象。
事前に告知があったが、入場時に手の消毒とマスク着用の要請があった。概ね8割の席が最終的に埋まっていたようだ。
このシリーズの存在は関 定子ファンの姉を通じて知っていたが、自分は初めての鑑賞。よく知るソプラノ、坂野由美子を聞く楽しみもあるし、有名オペラの重唱を集めたプログラムにも大いに惹かれて、神楽坂まで参上した次第。
関 定子は別格として、安定した力量を持つ中堅歌手たちによる重唱がずらりと並び、聞き応えたっぷりの90分。アンコールは「こうもり」から「シャンパンの歌」で賑やかに締めた。これも事前に知らされていたが、終演後のファンとの交歓なし、ということで、座長の関 定子が舞台上から客席に向かって挨拶。「お名残惜しゅうございますが・・・さっさとお帰りください!」
それにしても、少々語弊があるのを承知で言えば、関 定子というソプラノは、まさバケモノのようで、結構な御年であるはずだが、それを微塵も感じさせない艶やかな音色、低音から最高音までの滑らかな発声で、まことに恐れ入りますである。
今日はびっくりするような邂逅が。開演の前に登場した主催者、はて、どっかで見たお顔。その後に登場した演出家が名前を出したので、確信が深まり、休憩時間にそのH女史に話しかけると、果たせるかな半世紀前にパリでお会いした人物と知り、しばし昔話に興じた次第。今は、音楽事務所を経営しているというから立派である。
今日は我が姉のおかげで、思いがけない、貴重な体験を積むことができた。
#8 文中敬称略