200311 BOMBSHELL(爆弾)米 109分 監督:ジェイ・ローチ
平凡な展開だ。ただ、ニコール(52)とセロン(44)の競演が楽しみででかけた。ロビー(30)は、まあどうでもいい。二人は実在をモデルにしているが、ロビーの役は脚本段階での付け足し。だが、これがすこぶる重要な役割を果たしている。
しかし、展開が小気味好いというか、結構早いテンポで戸惑う。まさに最近みた戦争映画「1917」とは対照的なカット割りで、前半はなかなかついていけない。この話に精通しているアメリカ人にとっては、どうということはないんだろうが、我々にはそうは行かない。それでも主役級たちの個性の強い演技力、衣装の素晴らしさ、そしてメイクの強烈さで、見応えは十分!
実際に起きた米テレビ業界をある意味揺るがしたセクハラ事件を扱っている。つい昨日、禁錮23年の判決が下ったハーヴィー・ワインスタイン事件より1年前の告発だったことは知らなかった。事件概要→ 米FOX、セクハラで和解
中心人物は二コール・キッドマン演じるグレッチェン。セクハラには屈しなかったために、人気番組から引きずり下ろされる結果となり、思い悩んだ末、その先の人生も考えれば今しかないと、CEOのロジャー・エイルズ(ジョン・リスゴー)の告発に踏み切る。当然、会社は首に。
彼女のとった行動が社内外で激しい論議を呼ぶことになったのは当然の帰結だが、その行動に勇気を得た、同じ被害を受けた女性が何人か。その一人が、こちらもたいそう辣腕を振るっていたメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)。
FOXを揺るがした事件も、結局この期に及んで和解しかエイルズ側には選択肢がなくなり、挙句に社主であるルパート・マードック(マルコム・マクダウェル - 大した存在感!)に引導を渡される。
セロンは製作にも名を連ねているが、もともと彼女自身のプロダクションに持ち込まれたプロジェクトだったとか。キャスティングにも関与していて、相手役に二コールやロビーが適役と思っていたらしい。すでに腕利きのプロデューサーかも。
まあ、それにしても、米のこの業界での女性の活躍ぶりを思い知らされたのは本作だけではないが、彼我の差を改めて見せつけられる思いに。男性以上にタフであり、しかもちゃんと家庭もしっかり築いているからねぇ。
それにしても、この邦題はつまらない。なんか妥協の産物のようだ。とは言え、原題の爆弾も、まさか、このままでは日本では使えないし。もう一捻りできなかったのか。スキャンダルと題する作品、数知れず。ちなみに、マーゴット・ロビーを初めて銀幕で見たのは「アイ、トーニャ、史上最大のスキャンダル」。しかも、この時、トーニャの母親役を演じてアカデミー助演賞をとったのが本作でエイルズ側の弁護人を演じたアリソン・ジャネイ!
ついでだが、面白いことに3人ともアメリカ人ではない。二コールはハワイ生まれのオーストラリア人、セロンは南ア、ロビーもオージーである。
#10 画像はIMBdから