200810 家族からの冷ややかな視線を浴びながら、家を出る。これがまた一番暑い時間帯で、必死で陰を探しながら、蒲田まで歩く。今日は早いもので、もうフェスタの最終日。
毎年最終日は必ず聞きに行くことにしていて、いつもだとマエストロ秋山の登場となるところだが、今年は原田慶太楼、今、最も気鋭のマエストロの一人。
ショスタコの祝典は上にあるようにアッという間に作っちゃったらしいけど、やはり天才!最後の方にはパイプオルガン前にバンダが登場、左からホルン4、トランペット3、トロンボーン3という編成。徹頭徹尾賑やかな作品で、スカッとした。
2番目はこれもまず聞くことのないハープのコンチェルト!普段、近くで見ることのないハープの妙義をたっぷりと鑑賞。細かい手技、足技をとっくりと堪能。ペダル操作がこれほど激しいものと初めて知った。
後半はフェスタの締めとなる曲。この曲は咽び泣くようなヴィオリンの旋律が何度も登場することでもよく知られているが、それ以外の楽器も満遍なくソロが組み込まれていて、演奏側はかなり苦労するだろう。でも、張り切り甲斐もあるというもの。フルート、オーボエ、クラリネットの木管トライアングルを構成するプレイヤーはすべて女子!
女子ではなかったがファゴットも登場回数ははんぱない。金管、打楽器も特に終盤は総動員で盛大かつ壮大にコロナ禍でのこのフェスサマ・ミューザ・シリーズを締めくくってくれて、場内の喝采、なりやまず。最後は自分も含めてスタンディング・オヴェーション。誰もいなくなった舞台に、いつの間にマエストロ原田が戻り、今日大活躍のコンマス、水谷くんと、ハーピストの影山嬢を手招きして、熱狂のうちに終幕。
このマエストロは、珍しく米国派とでもいおうか、アメリカで研鑽を積んでいて、そのせいか風貌、仕草、服装なども含めて全体的にアメリカ風の空気を纏っている異色の存在。トークのノリもいかにも現代風で、マエストロ秋山とは対極に位置するような印象を受ける。
ハープという楽器を8歳から始めたという景山さん、普段あまり目立たない存在だが、今日は躍動の限りを尽くした。それにしてもこの楽器の持つきやびやかで古典的な姿はどうだろう。細かい装飾と、まばゆいばかいの金色だからねぇ、どうしてもいかつい男よりみやびな女性に弾いてほしい楽器だ。
ところで、先日の群響では、団員全員マスクをつけていなかったが、今日は管楽器以外は全員マスク、それも団からの支給品か、全員同じグレーのマスク。ただし、コンマスとマエストロはマスクなし。
会場を見渡すと、なぜか今日は黒は皆無。ほぼ全員白か薄いブルーがちらほら。クラシック愛好家って、かなり保守的という印象。
#14 文中敬称略