ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ナルコス」@Netflix

200831 その後も映画館に行けない日々。ひたすらネット配信を見ている。そんな中で、またかなりの長編を堪能した。ナルコス(Narcos)とは麻薬密売人のことである。

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「ナルコス本編」シーズン1-3 全30話

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「ナルコス:メキシコ編」シーズン1-2 全20話

50話(約45時間)を観終わった。実際に起きた麻薬にまつわる国際犯罪を脚色してまとめたもの。本編(コロンビア編)はあまりにも悪名高きメデジン・カルテル(Medellin Cartel、1976年発足)を、その発端から描き、途中からメデジンから600km南を本拠地とするカリ・カルテル(Cali Cartel)との絡みが加わり、厚みがグッと増す。中心人物は実在のパブロ・エスコバル(Pablo Escobar)。これを演じるブラジル人俳優がいい味を出している。パブロののし上がり方には戦慄を覚えるほど。過激な殺人シーンも多く、女性向きではない。

DEA(Drug Enforcement Administration, 米麻薬捜取締局)との凄まじい駆け引き、殺し合いが延々と続き、最終的にDEAに仕留められてジ・エンド。

一方、メキシコ編は、文字通りメキシコに舞台を移し、ミゲル・アンヘル・フェリックス(Miguel Angel Felix)という、あまり悪役という感じのしない、どちらかと言うと優男を中心に、DEA、さらにCIA, 地元警察、政界(アメリカ、メキシコ)を盛大に巻き込んでの展開となる。

前記のパブロとは対照的に、先を読む力に抜きんでたインテリ風の主人公が淡々と、しかし強引にメキシコ各地に点在するプラザと称する地方麻薬組織を束ねて、ついにはコロンビア麻薬組織を手を組んで巨額の資金を手に入れようと企むが、惜しいところでチャンスを逸する。フェリックスを演じるディエゴ・ルナがまたほれぼれするようないい男で、つい彼を応援したくなる。

時折入るナレーションで、当時の時代背景がよくわかる仕掛けとなっているし、実写フィルムも巧妙に取り入れられ、こうした事情に疎い日本人にも事態が分かりやすく仕上がっていて、大いに楽しめる。

これまた50話と長いが、一つ一つ脚本がよく練られていて、まったく飽きることがなく観終わった。

最後のシーンは、ついに捕まった大ボスのフェリックスに会いに来た、追う側だったDEAのリーダーに対して、フェリックスは、今はおとなしくしている地方組織、プラザは遠からず内輪揉めを起こし、必ずや再びメキシコだけでなくアメリカも巻き込む壮大な麻薬戦争に発展すると自信たっぷりに嘯くところで「完」

画像はIMDbから