201001 めっきり秋が深くなり、朝、マンションの9階にある自室の窓を開けると涼風がキンモクセイの香りを運んでくる。視界にはこの木が見当たらないから、よほど香りが強いのだ。
さて、依然禁足令が解除にならないから、せっせと自宅で映画・海外ドラマの鑑賞を続けている。
原題は仏語で伝染病を意味するÉPIDÉMIE。でもフランス映画でなく、カナダ映画、ということはカナダでもフランス語圏のケベック州の州都モントリオール(モンレアル)が舞台である。
パンデミックを扱った作品はすでにハリウッド、日本、韓国などで数多作られていて、ほぼ見ているので、また同じ類の作品かと思いきや、さにあらず。この作品、昨年中に作られ、今年の1月に公開されたというが、依然収束の気配が全く見えないCOVID19の蔓延ぶりを忠実になぞったような作品で、その類似性にはもうびっくりである。本作ではアメリカで発生したということから、COVaと名付けられたれっきとした新型コロナウィルス!
アンヌ=マリー・ルクレール緊急衛生研究所所長が主人公。これを演じるジュリー・ルブルトンがなかなかいい。
当初、市心広場周辺にたむろするイヌイットのホームレスの間で広がり始めたことから、イヌイット・ウィルスと呼ばれそうになり、言下にそれを否定する専門家と、人種問題に発展しかねないとする政府の慌てぶりも見せ場の一つ。
上記ルクレール所長が、ボストンでワクチン研究をしている大学時代のクラスメートに問い合わせ、有効性に期待をかけるが、治験終了前だからと突き放される。しかし、重症化している患者を見殺しにはできないと、強引にモントリオールからボストンまで夜通し車を走らせ必死の”攻防”の末、2本だけ分けてもらうことに成功。しかし、米加国境の税関で危うくばれそうな緊迫する場面が。EU並みかと思っていた米加国境でのチェックがこんなに厳しいとは意外だった。
”犯人”がなかなか突き止められず、最終の10話で、こうもり由来で宿主がフェレットということが確かめられ、映画の方は羨ましいことに半年ほどで終息宣言される。(ということで、モントリオールとその周辺で止まったので、厳密にはパンデミックではないが、たまたま処置がよかったからで、長引けばパンデミックになったであろう。)
何から何まで現実に起きていることと一致しているから、本当に昨年製作されたのかと疑いたくなるほどで、製作陣には大喝采である。監督はヤン・ラヌェット・トゥルジョン