ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ライン・オブ・デューティ 汚職捜査班」@Netflix

201019 原題:LINE OF DUTY(職務)英国 シーズン1〜5が2012から2019までBBCで放映された。シーズン6は今後放映される見込み。シーズン5の最終回エピソード6で、一応の決着を付けているものの、続きがある含みを持たせている。全部で29話、それぞれ約1時間。

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この3人がメイン・キャスト

警察の中での内部捜査班、いわゆる汚職警察をあぶり出す監察官で編成するAC-12(ACとはAnti-Corruption Unitのこと)の活躍を描く。

いくつか実話をベースにしているらしいが、いわば身内の行動を監視して、すこしでも怪しいと感じると徹底的に身辺を洗い、それが警察のトップだろうと、ゆるぎない姿勢で行動する、冷徹にして繊細、勇猛果敢な一群である。

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左がマーティン・コムストン。たまたま右側の潜伏捜査中の元同僚警察官役の俳優も小さいから目立たないが、おそらく170cmを切るぐらいの感じだ。

実働部隊はスティーブ・アーノット(マーティン・コムストン、前歴はプロサッカー選手だとか。背が低いのが玉に瑕。後半は髭面)、ケイト・フレミングヴィッキー・マクルア、ちょっとホラン千秋似で、まあ美形であり、体幹がややごつい)、そして彼らを指揮するのが警視正、テッド・ヘイスティング(エイドリアン・ダンバーダニー・ケイリチャード・ギアを足して2で割ったような)。この3人がすべての回に登場する。

女だてらに(などと言おうものなら、我が家では大バッシングにさらされるが)このケイトの活躍ぶりが凄まじい。その功績が認められ、終盤には昇格して、スティーヴの上司になる。この世界では、まあ当然だろうが、上司・上官にはサー、マムを必ず言わねばならず、スティーヴも周囲に人がいなければこれまで通り、ケイトと言うが、そうでなければ、ボス、マムをつけている。

ティーヴにしてみれば、身から出たサビ、というか、そもそも第1話で、聞き込み情報を基に犯人が潜む家に踏み込み、別人を射殺するという大失態を演じたという伏線があるから、仕方ない、というよりよく彼に復活のチャンスを与えた側に見る目があったということだろう。

AC-12の一員でありながら、目星をつけた警察官所属の部署に入り込む場面がしばしば登場するが、同じ警察官同士、すぐにバレると思うのだが。まして女性ならなおのことで、その辺りはややリアリティに欠ける。

ともあれ、ケイトもスティーヴも、上司のヘイスティングも、ほぼ私生活は犠牲にしているから、呆れる。こんな職業、よくやっているものである。他の部署からチクリ屋のように見られ、蛇蝎の如く嫌われ恐れられ、いつも疑心暗鬼で精神状態を保ち続けるのは常人には無理だ。

世界の警察組織には大なり小なりこうした組織を内部に抱えている。日本も例外でなく、人事1課というらしいが、”ひといち”と内部では言われる課であるあらしい。

シーズン5まで、どれをとっても実に緻密に構成された脚本であり、演技もみな優れていて、冒頭からぐいぐい引き込まれ、こんなに面白いドラマがあることにも驚くほどの切れ味。海外ドラマでは最高傑作と言える作品。見終わって、完全にLOD・ロスである。これを凌ぐ作品でに出会えるか、ちょっと不安。

吹き替えでなく字幕で見てるから英語の勉強になる。方言がいろいろ出てきて面白い。アイリッシュスコティッシュなど、結構、きつい訛りが多出する。ロンドンでも出身階級により、用語がかなり異なるし、その辺も楽しめる。

それにしても、日本人と違って、アルコール分解酵素が潤沢に出る連中だから、まあ男も女も強い酒をよく飲むこと!日本なら酔っ払って仕事にならないだろうに。

それと終盤に出てくるが、囮捜査というのか、犯罪組織に入り込んで、長期間一味になりすます捜査官は、万一バレれば非業の最期となるわけで、よくこういう役を引き受ける警察官がいるものだ。

間違いなくイチオシ!でも、かなりエグいシーンが出てくるから、女性には不向きかも。