211023 PEAKY BLINDERS 英 2014年から2019年までの5シーズン、各6話、計30時間
実話ではないが、実際に起きた事件や、実在の人物を巧妙に絡ませるので、リアリティーが画面から溢れる。ただ、このタイトルとなったギャング団はバーミンガムに実在したそうだ。トレードマークは独特のヘアスタイル(頭頂部を残して、周囲は地肌が見えるまで刈り上げる)と鳥打ち帽で、ひさしのところに武器になるカミソリを挟み込んでいて、相手の顔を斬りつけ時に目をつぶしてしまうので、blindersという説も。ピーキーとは、この帽子のことを当時peaksと呼んでいたことに由来する説が有力。
主人公、トミー・シェルビーなる人物は残念ながら実在していない。これをアイリッシュのキリアン・マーフィーが好演、周囲の人物にも個性の強い俳優をうまく充てていて、キャスティングが見事。
時代は19世紀の終わりから1930年まで。その後はシーズン6となるはずだったが、コロナで撮影不可。今のところいつになるか不明。というわけで、かなり中途半端な終わり方になってしまった。
舞台はバーミンガム。鉄鋼の街で、そこらじゅうに火花が飛び散って、めったに日が差さないダークグレイな街並みが描かれる。この一群もそこを根城にして、手段を選ばず、あらゆる殺しのテクニックを駆使して周囲を圧し、勢力を拡大していく。かなりグロいシーンが少なくないから、女性には勧められない。
マーフィー演じるトミー(トーマス、トム)は飛び抜けて才覚があり、勇気も半端ないので、兄のアーサーも弟の配下という有様。女運にも恵まれており、トミーの色気にはなびかない女がいないほど。
彼らの根っこはジプシー。対立する相手はイタリアアン、アイリッシュ、ユダヤ人、アメリカ・マフィアと多彩だ。アルコール密造、密売、コカイン、武器など、物騒なものにはすべて手を出す商売上手。少しでも可能性があれば殺し合う相手とも平気でディールする。
競争相手との抗争をほぼ制して一段落すると政界へと舵を切り、チャーチルとも渡り合えるレベルにまで。
ファシスト党を一緒に立ち上げるふりをして党首を旗揚げ演説会で狙撃する手筈だったのに!誰が裏切ったのか(想像はつくが)、自分の筋書き通りとならず半狂乱のトミー。シーズン6に続く(筈)。