ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「戦火の愚かなる英雄」

210304  A FAREWELL TO FOOLS (この原題、「愚かなる者たちよさらば」ということだが、 A FAREWELL TO ARMS(武器よさらば)をもじったことは明白。2013 ルーマニア・独・ベルギー合作、85分、監督:ボグダン・ドライアールーマニア)主演:ジェラール・ドゥパルデュー、ハーヴィー・カイテル

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珍しいルーマニア映画だが、主演はフランスとアメリカからの大物二人。

第2次大戦末期、ルーマニアの地方都市、ナチの兵士が殺される。ドイツ軍は明朝までに犯人を出頭させない場合には市長を含む村の名士10名を銃殺するというお達し。大騒ぎに。ここで窮余の一策、恐るべきプランが彼らの間で練られる。

元フランス兵で村に住み着いている、いささか常軌を逸しているとされるイプーという変わった名前の男(ドゥパルデュー)にこの際、濡れ衣を着せようということにして、彼の誕生祝いという宴を催し、同席する内科医がやにわにイプーを診察、深刻な病で余命僅かであることを告げ、この際、代わりに罪を被ってくれれば、村としてありとあらゆる名誉を与えると持ちかける。

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あにはからんや、このイプー、みかけと違って、実は緻密な頭脳の持ち主で、彼らの悪だくみなど、すっかりお見通しで、逆提案を繰り出し、彼らを一転、窮地に陥れることに・・・・

この騒ぎと登場人物を見ていると、なにやらプッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」そっくりの展開であることに気づく。

ラストをもう一捻りしてくれればとそこだけが惜しまれる。ドゥパルデューやハーヴィー・カイテルのような大物を使っているだけにもったいないと思った。