ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「メリー・ウィドウ」@METライブビューイング

210323 合唱仲間からMETライブビューイングのことをリマインドされて、ふと予定を観たら、もうこの日しかないと気づき即予約。そしたら、映画館は依然ガラガラ状態で、これはちょっと予想外。

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コロナ禍ゆえこのシリーズの新作なし。ゆえに2015年のシリーズで今年は対応するようだ。ほぼ料金据え置きだから、METにすれば悪い話ではないのかも知れない。公演時期は6年も前だが、特に映像・音響が劣化するわけでもないから、あまり気にならない。

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今回のインタビューアーはカンザス出身のジョイス・ディドナート。名前からしてイタリア系。顎のがっしりした、いかにもオペラ歌手という感じのガタイのいい女性。

ルネ・フレミングはただいま62歳だから、この公演(6年前)ぐらいを最後にあまり本格的に歌っていないのではと想像される。本作では、見事なハンナぶり。艶やかな声はまったく隙がなく魅力たっぷり。ちょっと肉(しし)置きが豊かになったせいか、動きがいかにも重そうであるが、ハンナだから、そのぐらいでちょうど良いのだろう。

対するヴァランシエンヌは、若手のケリー・オハラ(Kelli O'hara 44歳)。オクラホマ出身の、名前からしてそれと分かるアイリッシュ系で、もっぱらブロードウェイのミュージカルに出ていて、この後、2019年には例の「王様と私」で渡辺 謙と共演しているので、日本では比較的知られている方だろう。

冒頭のビデオメッセージでは、日本ファンに宛てて日本語もちょっと入れて挨拶。チャーミングな風貌だし、もともとオペラを勉強していたというから、基礎はしっかりしていると見た。ただ、大御所のフレミングとの共演だけに、気疲れというか相当大変だったことだろう。ミュージカル”専門家”としては大いに頑張ったと言えよう。

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「唇は語らねど」の場面はいつ見てもうるうるするほど感動する。

ハンナの相手役、ダニロを演じたバリトンネイサン・ガン(Nathan Gunn 51歳)は、ラッセル・ワトソン似でなかなか好印象が残る歌手。歌も演技も悪くない。他に大御所、当時70歳のサー・トーマス・アレンがツェータ男爵を。ベテランらしい軽妙な演唱で客席を沸かせる。ちなみに指揮者のサー・アンドリュー・デイヴィスも同い年の英国人。

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一番楽しめたのはなんと言っても踊りの場面。スーザン・ストローマンの演出の極め付けとも言える部分かも。歌手たちもプロのダンサーたちと混じって違和感なく踊れていたのは彼女のおかげだと歌手たちがインタビューで述べていた。

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グリゼットたち、手脚が長くガタイのいい踊り子たちが大胆な踊りをこれでもかという具合に見せつけて、この辺は日本で普段みるメリーウィドウとはまるで別物と感じてしまうのは仕方のないところだろう。

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こういうのを見てしまうと、しばらく日本版は見なくてもいいかなという心境になる。