210610 活着 香港 1994年(日本公開は2002年) 131分 監督:チャン・イーモウ
1960年初頭から、文化大革命までのある中国人一家のたどった盛衰を描きます。
羽振りがよかったフークイ(グォ・ヨウ)、博打で失敗し、家屋敷をカタに取られ、たちまち路頭に迷うことに。呆れた妻チアチェン(コン・リー)は幼児を連れて実家に帰ってしまいます。さすがに打ちひしがれたフークイ、心を入れ替えて、腕に覚えのある影絵職人として再起を期します。やがて妻子もそんなまじめなフークイの元に戻り、貧しいながらも楽しい我が家ということになります。
ところがこの後、次々と不幸が一家を襲います。時あたかも文化大革命の嵐が吹きすさび、そんな中、大事な一人娘を出産時の処置を若い紅衛兵たちがしきっていたことが原因で亡くします。それでも生まれた男の子、つまり孫のマントウはすくすく育ち、孫の成長を楽しみにしながら、気を取り直して生きていくのでした。
いかにもチャン・イーモウらしい美しい映像が次々に登場し、深く心に沁みます。
舞台裏では中国古典楽器奏者、ストーリーを伝える弁士、人形の操り師、など5, 6人の熱演が見られます。フークイの弁じ方が冴えます。
文化大革命中に出産を迎えたことが悲劇でした。病院には紅衛兵しかいないんですから。えらい専門医はみんな紅衛兵の血祭りに挙げられていたのです。
ここで一計を案じた夫は、仲間たちとその先生を探し、首に例の反省文を書いたボードをぶら下げて、大声で罵倒しながら、病院へ連れてきます。ところが三日三晩なにも食べていない先生はフラフラ。とても患者を診られる状態ではありません。そこでマントウを買ってくるのですが、なんと7つも!
それを一気喰いしたもんだから、先生、とたんに具合が悪くなります。喉につまらせたと思った仲間がお湯を飲ませたら、先生の症状はさらに悪化。どうにもなりません。
出血が激しく、死相すら漂わせる娘と、こちらも死にそうな先生の間を激しく行き来する両親と夫、ハラハラドキドキなんですが、不謹慎ながら、ちょっとおかしくなったりもするシーンです。
フークイを演じたグォ・ヨウが美男でないところが本作の成功の一因だろうと見ています。対する妻、チアチェンのコン・リー、きれいだし、さすがの演技力です。