ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

名曲全集 第169回@ミューザ川崎

210918 東京は台風14号の影響で朝から風雨が強いです。降ったり止んだりで、目の前の呑川も水位が結構上がって、珍しく迫力ある流れが見られます。そんな中、川崎まで足を運びました。

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普段あまり聞くことのないヴォーン・ウィリアムズの楽曲がずらり。聴いたことのない「海の交響曲」と、久しぶりの小林沙羅さんがお目当てです。一度、国技館第九で共演(?)したことがあります。

最近、原田慶太楼さんを聞く機会がずいぶん多いことに我ながら驚いています。やはり指揮っぷりが好きなんだろうと思います。アメリカがベースという、ちょっと異色の活動をされているようですが、今日はイギリス人の作品です。この作曲家の詳細は解説に載っています。

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沙羅さん、ご覧のようにとてもチャーミングです。今日はブルーのグラデーションのある、ちょっと人魚を思わせるようなデザインのコスチュームでした。小柄な割にとても響く声で、この楽曲にはぴったし!となりの大西宇宙さんがでかいので、なんだか天女のような風情で聴衆を魅了します。

大西宇宙さん、たかおきと発音するそうですが、今日の楽曲にはまさにドンピシャのお名前です。というのは、歌詞の中に何度も宇宙という言葉がでてくるからです。お顔はどこか童顔ですが、かなり大柄で日本人離れした堂々たる声量をお持ちです。ただ、オケがとてつもなく大きな音量で鳴るところが多く、手前にいるお二人の声がかき消される場面がなんどか。

蛇足ながら、お二人の、出番でない時の姿勢や表情が対照的で、面白く拝見していました。沙羅さんは、時折微笑みながらも、合唱の歌声に合わせるかのように、かすかに首を動かし表情を作られていたのに対して、大西さんは眼光するどく、会場をねままわすような、やや挑戦的な姿で座ってました。この方、挨拶の時は、片方の足を前へ出すという、あまり見かけないスタイルでした。どうでもいいことですがね。

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東響コーラスは、もちろんここでなんども聞いていますが、今回も暗譜ですよ。この合唱団の基本らしいですが、以前もヴェルレクを暗譜で歌っていて舌を巻いたことがありますが、今回も長く、しかも激しく上下するシークエンスもしばしば出てくるのもものともせず見事に歌い切りました。

後で団員のお一人から聞いたのですが、コロナ禍で練習機会が限られたこともあり、合唱団を前後半に分けての出演という珍しいことになりました。合唱団とオケの弦楽メンバーの一部はマスク着用していました。また大西さんも全身黒ずくめのいでたちで、出番でない時は黒いマスクをされてました。沙羅さんはマスクなし。しまうポケットもないからかも知れません。

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たまたま今朝、テレビ朝日の「題名のない音楽会」を見てたら、各楽器のセカンド奏者が登場、ファーストをサポートする仕方、方法、心得のようなことを紹介していて、とても興味深かったのですが、出演者の一人が、登場していました。オーボエイングリッシュ・ホルンの最上峰行(たかゆき)さんです。

今日のコンマスは水谷さん。とても愛想がよくチャーミングな方です。「海の交響曲」のラストは、それまでの壮大な曲風が一転、時間をかけて静まり返るのですが、ファースト・ヴィオリン、そしてチェロ、コンバスピアニッシモで消え入るように高音と低音が響き合う印象的な幕切れ。終演後も、10秒ぐらいかけてマエストロがふぅーっと息を抜くと、場内割れんばかりの喝采でした。

独奏者や活躍した奏者を指して喝采を浴びさせるところで、冒頭にコンバスの首席奏者を指してました。何か特別の事情がありそうですが、よく分かりません。

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冒頭の「グリーンスリーブスによる幻想曲」は、イギリス人ならずとも、とてもよく知られたイギリス民謡をアレンジしたもので、冒頭、左手奥ハープの横に立ったフルート奏者が吹き始めます。途中から2番の方も加わって、牧歌的に聞かせてくれます。中盤からがらっと曲想が変化してダイナミックに演奏されます。

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そしてこの大曲!いやあ驚きましたねぇ〜、こんな壮大で堂々たる楽曲だったなんて!かなりの部分、全楽器が吠えまくっていました。上にも書いたように、フォルテッシモで歌うソリストの声が掻き消えるような箇所が何度も。そして上方から聞こえるパイプオルガンと合唱が大空間で溶け合って聴衆に降り注いでいました。

普段はあまり出番のないバス・クラリネットやバス・ファゴットもここぞとばかり吹きまくっていましたね。いやあ、凄まじかった!イギリス人の大交響曲を堪能しまくって会場を後にしました。風はまだ強いけど、雨は止んでいました。