211021 今回もラッキーでした。ブロガー対象の内覧会に応募したら、当選!
何年か前にツアーでエルサレムには行っているのですが、自由行動の時間もなく、この博物館へ行くチャンスがありませんでした。したがって、なんの事前情報も持たずに出かけたのですが、いや、もうびっくりでした!印象派および時代的にその前後に活躍した超有名な画家たちの作品、それもこれまで一度も見た覚えのないものばかりが、ワンサカ!いや、もう久しぶりに興奮しましたよ、そりゃ。詳細は、三菱一号館美術館のHPをご覧ください。
いつものように入場時にブロガーに対して、以下のような注意書きが配布されます。
これを見て、「やったぁ〜!」と受付で確認したこと、それは一点撮りがOKかどうか、ということ。「接写はダメ!」ということは、そうでなければいいってことですからね。基本的に、これまで一点撮りはずーっとNGだったのですから、喜びもひとしおというところです。
てなわけで、主催者さんのありがたい特別な許可を得て、撮りまくりました。
セザンヌ、26歳頃の作品ですから、手前の岩の描き方など、まだセザンヌらしくないですね。
このモチーフは色んな人が描いていますし、モネ自身も何枚も残していますが、イスラエルにもあったんですねぇ。そばで見ると筆致がかなり粗いのがよくわかります。これは構図的にはかなり上の方からの視点なので、ほかの作品とはすこし角度が異なるかも知れません。愚亭も何年か前にも再訪し、浜からじーっとこの崖を目に焼き付けてきました。
シスレーは一時期、このロワン川のほとり、モレ・シュル・ロワンに住んでいたので、この川はずいぶん描いている筈ですが、たっぷりと秋の日差しが斜めから射しているロワン川の風景です。
恥ずかしながら、この画家の名前、まったく知りませんでした。ボストン生まれのアメリカ人なんですねぇ。初めはターナーの影響を受けたらしいのですが、その後、ニューヨークで開催された印象派展を見て、すっかり魅せられ、訪欧してじっくりその手法を学んだようです。この描き方には明らかにその影響が見て取れますよね。ちなみにショールズ諸島とは、アメリカ東海岸、メイン州・ニューハンプシャー州の沖合にある島とか。愚亭はどこか南仏かと思いましたが。
また、シスレーを撮っちゃいました。やはり好きなんでしょうね、つい目が行ってしまいます。このタイトルになっているサン=マメスという町というか村は、ちょうどセーヌ川の上流で、ロワン川がセーヌに合流する地点に当たります。彼が住んでいたモレ・シュル・ロワンはここから3kmほどのところですから、この辺はシスレーの庭のようなもんだったんでしょう。ちなみに、ロワン川をさらに上流へ行くと黒田清輝や浅井忠などが一時期画作に励んだグレ・シュル・ロワンがあります。
一目でシニャックと分かる点描画。題材のサモワとは、正式にはサモワ・シュル・セーヌといい、一つ上の画像にあるサン=マメスから20kmほどセーヌ川の下流にある地点です。偶然ですが、シニャックとシスレー、意外に近いところで制作していたみたいです。時代は異なりますが、面白いですね。
いかにもセザンヌっぽい作品です。時代的にも絶頂期ではないでしょうかね。
出ました、睡蓮が。何十点と描いていますがこういう縦型の構図は少ないようです。今回は特別展示として、国内の三つの美術館から借り出した作品が3点、一堂に会するという貴重な展覧会となりました。さすがにこれら連作の一点撮りは禁止でした。まあ、今回の目玉とも言えるというと、イスラエル博物館には失礼かも知れませんけどね。それにしても3点とも日本の美術館が所蔵しているという点も、面白いですね。DIC川村記念美術館、和泉市久保惣記念美術館、そして東京富士美術館(八王子)です。
コローの作品は入口付近に4点並んで展示されていますが、この作品はなぜか別のコーナーに展示されていました。木々、特に葉っぱの描き方が微妙にそれら4点とは異なり、全体にのっぺりとした筆致になっていることが意外でした。いろいろ描き方を試したいたのでしょうか。
ちょっと不思議な絵です。ちょっとピサロらしくない感じがします。朝、陽の光と雲の様子がいつもと違って見えて、描いたのでしょうか。同じ対象を時間を変えて、あるいは季節を変えて描く手法はモネが得意とするところですが。
そのモネの作品。やはり光にこだわっているのがわかりますが、まったく陰影をつけない画法が特徴的な作品です。積み藁を娘に見立てているそうです。積み藁は連作でモネの代表的な作品でもありますが、これはかなり趣きを異にしています。
まったく見たのことのないゴッホの作品です。そう言えば、これも積み藁が主題になっていますね。2年後、悲劇的な死を迎えることになります。
塗り残しが結構見られる作品。奥行きがひろびろと感じられる構図です。
最後の2年間は特に多作だったゴッホ。死期を悟ったかのごとく。
構図といい色調といいこれぞセザンヌという作品です。
「風景」とそっけないタイトルですが、ゴーギャンのいたポンタヴァンで彼の指導を受けたとされているナビ派の一員ですから、これはポンタヴァンの風景なのでしょう。
ヴォージラールはパリ近郊の町の一つ。家並みがいい塩梅に収まっています。色調も断然素晴らしい!
ちょっと馬っぽい犬ですが・・・”いる”ではなく、”ある”としているのが気になります。彼は1903年5月に亡くなるので、ほぼ最後の作品と考えれます。
かなり変わった作品です。タヒチでの作品です。踊る姿が堪能的すぎると当局から展示に待ったがかかったとか。太い樹が手前にあって、奥で人が動いている構図は「天使とヤコブ」(1888)とよく似ています。
手前や奥の筆捌きがすこぶる印象派的です。
この”午後の陽光”とか、”朝の光”とか、副題に付けている作品が少なくないですね。その辺りは印象派らしく、光を大いに気にしている感じがします。この作品も、初春でしょうか、とても空気感がよく描かれているのではないでしょう。遠くに起重機らしきものも見えますが、この時代はまだ出現していませんでしたね。と思ったら、1900年なら、クレーンは稼働していたらしいです。
恥ずかしながら、この画家のこともまったく知りませんでした。名前からしてゲルマン系ですが、ポーランド生まれのドイツ人画家、版画家です。ずいぶん大胆なタッチが現代的なことに驚きます。
これも同じ画家の、同じ時期に描かれた作品。カーユボットを思わせるような描き方ではないですか。
これは見るからにいわくありげな作品なので、脇に掲示された文章をそのまま貼り付けます。
珍しい構図です。
彼の作品群の中でも、筆捌きが結構異彩を放つ作品だと思います。とてもルノワールさを感じます。
黒をここまで大胆に塗りました。
ルノワールっぽさ、満開です。
北フランス出身のポスト印象派に属する画家です。筆致にゴーギャンの影響が見られるように、なんと三度もポンタヴァンに行っていて、肝心のゴーギャンと会って話したのは三度目の正直ということです。意気投合して、一時は「総合主義」などを二人で唱えたようですが、後に絶交したそうでうから、何があったんでしょうかね。
なんともおしゃれな作品です。赤い絨毯の上で、黒いコスチュームの後ろ姿はなにを縫っているんでしょうか。
1点だけの展示となったボナールの作品です。今回の展示作品は全部で69点、そして特別展示の3点を加え、72点となりますが、時代的には本作の1923年が飛び抜けて”新しい”作品となります。
というわけで、全体の半分もここで紹介していませんが、他の作品も名品揃い。こんな展覧会は見逃すわけにはいかないでしょう。会期は来年の1月16日までです。
今回、内覧会に行けたことはもちろん、一点撮りまでできたのは望外の幸せでした。