ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

モツレクを歌った後に、モツレクを聴きに行きました。

211024 午前中はうちの合唱団、大田区民第九合唱団の練習で、モツレクからDIES IRAE(怒りの日)とREX TREMENDAE(恐るべき威厳の王よ)を歌い、その後、ミューザ川崎で合唱指導の先生のお一人が合唱団で出演するというので聴いてきました。なかなかタイムリーで、しかもスリリングでした。

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参考までに、こちらがオリジナルキャストのチラシ。確かにソリスト全員があちらの方。

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1曲目、デュティユーの交響曲1番、珍しいことに出だしはコンバスの静かなピッツィカートですよ。しばらく聴いているうちに次第に心地よくなり、気がついたら、第4楽章終演部で、「最後はゆっくりとしたテンポになり静寂の中に消えていきます」とプログラムに書かれていますが、デュティユーさんには大変失礼したことになりました。こういう状況下での睡魔には抗えません。無抵抗で身を任せました。そして、次に備えました。これ、セーカイです。

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今日のソリスト、元々は4人とも海外から来る予定がコロナ禍で調整できず、バスを除く3人は急遽日本人に変更されました。怪我の功名というか、おかげで10年以上も前から応援している三宅理恵さんを聴くことができました。小泉詠子さんもなんどかオペラの舞台でお聴きしています。(バス歌手だけ、なんで出られたのか謎です。ずーっと日本にいる人かも)

それでモツレクですが、まず滅多に聴くことができない演奏でした。というのも、なんか自分たちが歌っているものと違うなぁと感じたのがLacrimosa(涙にくれる、その日)で、版が違うのです。滅多に聴くことのないフィニッシー版が使われ、独唱パートがずいぶん登場するのです。

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あれっって思ったのが、LACRIMOSAがぜんぜん違うなぁということ。それもそのはず、イギリス人の現代作曲家マイケル・フィニッスィーの補筆完成版を使用ということですから、なんか突如三宅理恵さんが大声を出し始めたんで、びっくり仰天でした。やはりイギリス人ノットだけに、そう来たわけですね。

それとなんと言っても、リゲティというハンガリーオーストリア人現代作曲家のLUX AETERUNA(永遠の光)が挟み込まれたことでしょう。歌詞がないように聞こえたのですが、普通にLux Aeternaの歌詞で歌われたと後で知りましたが、それほど無言歌のごとく聞こえました。なにかやたらに明るい光に導かれ包み込まれるような、そんな印象を受けた曲でしたね。

合唱は新国立劇場合唱団です。プロ中のプロですから、なんたって一人一人がソリストで活躍できる集団ですから、そりゃまあ素晴らしいのは当たり前ですが、それにしてもアカペラでリゲティを歌えちゃうというのが、いやはやとんでもないことだと思いましたね。

それと、突如”おりん”がチーンと鳴らされる場面が二度ほど。Domine Jesuの前とリゲティの前ですが、やはり鎮魂の祈りを込めてという演出なんですかね。ジョナサン・ノットの指示らしいですけど、また鳴らすティンパニー奏者がなにやらずいぶんといわくありげに、もってまわった仕草でして、いきなりなのでかなり驚きます。

まあ、そんなこんなで、滅多に聴けないモツレクが聴けて、とてもラッキーでした。