211119 タンゴ演奏だけを生で聞いたのは、おそらく初めてのような気がします。
多分これも姉の影響で、子供の頃から結構タンゴを好んで聞いていた記憶がありますが、そのほとんどはコンチネンタル・タンゴだったようです。
今日はもちろんすべてアルゼンチンタンゴです。バンドネオンの第一人者、小松亮太さんの企画力、構成力をまざまざ見せつけられました。さらにトークが超一流。無駄のない語り口は見事でした。
曲の解説はもちろん、冒頭、バンドネオンとアコーディオンの違いの解説など、「なるほど!」と目から鱗でした。自分なりに違いはある程度は知っていましたが、そこまで深いとは!アンケートによく「小松亮太さんのアコーディオンが素晴らしかった!」などこ書かれるとガクッとなると。ま、そりゃそうですよね。
また、タンゴの踊り方の解説も実にていねい、且つ明快にしてくれて聴衆は大喜びでした。なにせ登場したナナ&アクセルの二人が手足が長くかっこうよかったですからね。ただ、隣席の高齢のご婦人がいちいち奇声を発して反応するのには閉口しましたが。
これまでタンゴと思っていた踊り方は実は、本場アルゼンチンにものとは大違いで、すべてヨーロッパで完成されたものとは!ま、それだけ強くヨーロッパに根付いたということでしょう。
さて、演目ですが、知らない曲ばかりで、唯一知っているのが「リベルタンゴ」でした。
6曲目の「オブリビオン」は、イタリア映画「エンリコ4世」(マルコ・ベロッキオ監督、マルチェッロ・マストロヤンニ主演)のテーマ曲だそうです。不出来な作品で、日本での劇場公開はなかったらしいので、当然愚亭もこの作品のことは知りません。監督も主演者も超がつく一流なのに、作品としてはひどいものだったそうで、ピアソラも不運でした。
アンコールは「定番ですが・・・、」と「ラ・クンパルシータ」でした。もちろん、これは知っていました。この曲名ですが、イタリア語のLa Comparsa(仮装行列)が語源とのこと。
流麗なピアノやヴァイオリン、ギターの調べも素敵でしたが、ハモンド・オルガンの登場には驚きました。実物を見たのは多分初めて。タンゴには普通使われない楽器ですが、ピアソラがアメリカに行ったときにアメリカ音楽を取り入れようといろいろ工夫した中の一つがこの楽器の使用だったらしいという解説がありました。ウィキペディアには、こんな説明が。
ハモンドオルガン(英: Hammond Organ)とは電気楽器の一種。
1934年にローレンス・ハモンドによって発明された。パイプオルガンのパイプの代わりに、トーンホイール(歯車状の磁性金属製の円盤)を回転させて、近接して設置された電磁ピックアップにより磁界変化の波を音源として出力する。このように生成された正弦波を基音または倍音として、パイプオルガンと同様にミックスして音を作り出す。
機種や演奏環境によって若干の差異はあるが、空気感に富む明朗な音色が特徴である。複雑な発音方式から生じる深みのあるサウンドを利して、ジャズやロックなど比較的近代的な音楽に導入している例も少なからず見受けられる。
ついでですが、中央に陣取る小松亮太さん、靴磨き台をでかくしたような箱に片足を乗せ、そこに結構重量がありそうなバンドネオンを乗せて演奏するのですが、ずーっとその格好なので、結構大変そうでした。
ともあれ、自分には知られざるタンゴの世界が広がり、期待をはるかに上回る意義深いコンサートでした。