ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

音大オケフェス@ミューザ川崎

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例年、春と秋に開催されている演奏会で、今年は12回目。多分、これまで全部行っていると思います。

会場が近いこと、安いこと、そして音大生ですから、みなさんとても一生懸命だし、若い情熱が伝わり、しかもかなりお上手なんです。それもそのはず、指揮者がいずれも当代一流の方々ばかりですからね、こんな素晴らしい演奏会はありません。

二つの会場で4回公演があります。出場校は9校なので、一度だけ3校が演奏する日があります。どうせなら3校聞けるお得な日を選びたいところですが、私の嫌いな(単に遠いということだけです)芸術劇場なので、初日を選びました。

偶然なのかどうか、両校ともにチャイコフスキーのシンフォニーです。それも愚亭が大好きな5番、6番ですから堪えられません。

5番の作曲が1888年、彼が48歳の時です。そして6番はそれから5年後の1893年で、この年に亡くなりますから、まさしく最後の作品ということになります。なんと初演からわずか9日後にコレラで急死とは、なんとドラマチックではありませんか。享年53とはもったいない!でも、最後の作品にふさわしく微妙な感情のゆらぎを随所に盛り込み、時に壮大、ときに蠱惑的で、弦による主旋律が始まると完全にチャイコフスキーの世界に没入してしまいます。

この2曲、共通しているのは、出だしがどちらもかなり暗いです。5番はクラリネットが低い旋律で、ロシアの広大にして凍てつく大地にいざなうように、6番はファゴットがやはり低く大地を這うようにして唸ります。

そしてどちらも管楽器が相当がんばります。6番にはバス・クラリネットもいいところを受け持ちます。(そう言えば、団員入場の時に、バス・クラを誇らしげに持って入って来た女子団員が印象に残りました。)本来、ファゴットが吹くところをわざわざバス・クラリネットに吹かせるって、なかなか面白いですねぇ。

両オケともに女子団員が圧倒していて、男子はひどく肩身の狭い思いをしているような印象を受けました。東邦では、一番重い管楽器チューバまで女子団員です。この人、ファンファーレにも登場しましたが、軽々抱えて登場してまして、ちょっとした驚きでした。

そうそう、ファンファーレは毎年恒例ですが、学生が作曲して、会場で紹介の栄に浴します。相手オケに対するエールの意味でたすきがけの演奏となります。今回は偶然ですが、東邦と桐朋の組み合わせで紛らわしいです。ちなみに英語名は東邦がTOHO COLLEGE OF MUSIC ORCHESTRA,  桐朋はTOHO GAKUEN ORCHESTRAになっています。

聴き終わって万雷の拍手の中、晴れがましくもやや気恥ずかしげな表情が微笑ましいです。特に今年もコロナ禍で練習が思うようにできなかっただろうと思うと、今日、ほぼ満席の会場で演奏できたことはかけがえのない思い出になるでしょう。

それにつけても、この子たち、卒業後、どういう進路を辿るんでしょうねぇ。楽器によっては一流のソリストに育つ人もいるでしょうし、著名なオケに入団できる人もいるんでしょうけど、多分、多くは音楽とは一旦離れて普通の企業に就職したりもするんだろうなぁとふと考えてしまいました。

 

どうでもいいような話ですが・・・

さきほど触れた大学の英語名、音大というのは元来単科大学なので、universityでなくcollegeを使うのが普通でしょうか。芸大の場合は、美術と音楽という違う学部があるので、Tokyo University of Artsとなります。(ただし、オケの名前だけTokyo Geidai Orchestraと簡略にしています)面白いのはAcademia Musicaeとラテン語を使用しているのが武蔵野音大と昭和音大。単科なのにUniversityなのが上野学園です。